仮面のシンデレラ【Tatsuya.F】2 (ページ13)

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周知の事実だけど深澤君はモテる。

同じ学年だけでなく下級生からも先輩からも。

でも、里穂と私の前ではあまりそういう話をしない。

深澤君をいじる里穂に、俺だってモテるんだからな！と言い返しているのはよく見るけど

実際の彼の恋愛事情は謎だ。

里穂も直接そういう話を本人に聞いた事は無いらしい。

変な空気になりたく無いしどうせ聞いても流されるからと言っていた。

流石に好きなタイプは？とか気になる人いないの？と直球で聞くのは私も無理だ。
　

そもそも私が深澤君に恋愛の質問をする事自体違和感しかない。

だから深澤君の仕事の話から色々探ってみる事にした。

大ちゃんという共通の知り合いもいるし、変に疑われる事も無いかなと思い。

「今日めっちゃ怖い振付師さんが担当なんだよね」

『振付師さんって女の人？』

「男男。女の人の振付師さんもいるけどね」

今日も宿題教えてと私の前の席に座る深澤君。

必死にノートに書き写してる。

『女の振付師さんってどんな人なの？』

「んー、いろんな人いるよ。俺と歳あんま変わんない人もいるし」

『そうなんだ。…じゃあ、仕事場でも結構モテてるんじゃないの？』

「そんな事ないない。笑
仕事仲間って感じよ」

「てかさ、」

不意にノートから視線を上げた深澤君。

ぱちっと目が合う。

「何か最近水瀬さん変わった？」

『…どこが？』

「俺の事全然興味なかったじゃん。一方的に俺が話してて質問してくる事なんて無かったのに」

ドキッと鳴る心臓がバレない様に、そんな事ないよと平静を装っていると、持っていたペンをノートに置いて手に顎を乗せて肘をついた深澤君。

「何々、俺の事ちょっとは良いなって思ってくれた？」

『は、』

「ふは、そんな顔しないでよ冗談だって！」

眉間眉間！と自分の眉間を指差しながら楽しそうに笑ってる。

「いやね、普通に嬉しかっただけよ？やっと友達だと思ってくれたのかなぁって」

『…友、達』

「里穂とは普通に仲良く話してるじゃん。俺とは全然距離縮まんないからさーちょっと寂しかったんだよねぇ」

胸がちくっとした。

悪い事してる訳ではない…と思う、思いたいけど

里穂のために色々質問している自分の行動をそういう風に捉えている深澤君に罪悪感が募った。