推し間違いにはご注意を【Hikaru.I】

16. 岩本side ページ16

Aを送って車に戻る。




「あ、照兄おかえり」



「ごめん康二。遅くなった」



「全然ええよ！」





ドアを閉めて車を走らせる。





「Aちゃんおもろい子やったなぁ。久しぶりに同年代の子とプライベートで話したから何か新鮮やったわ」




スマホを見たまま笑って話す康二。



あ、間違えたと独り言を呟いてる。
どうやらファンクラブ会員向けのブログを書いていた様だ。





「康二だって周りにいるだろ、女友達」



「それがさぁ意外と全然おらんのよ俺。学生時代もシャイやったから女子と話せんかったし、仕事始めてからだと友達っていうより仕事仲間やん？ガチのプライベートで仲良くしてる女の子ってほんまおらんのよなぁ」






康二のプライベートは意外と謎だったりする。



関西から付き合いがある子や事務所の後輩とかと一緒にいるみたいだけど



女友達の話は確かに聞いた事はない。




まぁ俺もそんなに沢山いるわけじゃないけど。







「やから、照兄とAちゃん見てたら羨ましいなぁって思ったわ」








多分、Aと康二はこれからもっと関わっていけば普通に仲良くなれると思う。



趣味合いそうだったし。




…ぶっちゃけ、康二のタイプだよなAって。
見た目も、あの飾らない性格も雰囲気も。
康二が好きそうな感じする。




だからAと連絡先交換したのかなとか、そんな風に考えてる自分もいて。








…って、何考えてんだ俺。




Aが誰と仲良くしようとAの勝手なのに。








今日の様子から、Aが康二のファンなのはすぐに分かった。



全然違ったから。
俺や翔太と話す時と。




たまに街中で話しかけてくれる子達と似てて



緊張しながらも頑張って話してた。





流石に康二の前でA本当は俺よりも康二のファンだろ？とは聞けなかった。





なんか頑張って話してるAが可愛いなと思う反面



じゃあ何で俺のうちわ持ってたの？って複雑な気持ちになって。






結局事の真相がまさかのうちわ間違いだったのは笑ったけど。



やっぱりこの子面白いなって再認識した。







「よし、送信っと！」




「毎日ブログ更新ってほんとマメだよな康二」




「ふふ、まぁ好きでやってるからさ」
　





嬉しそうに笑う康二を運転しながら横目で見る。




マメで、優しくて、人懐っこくて。




…Aもそういうとこが好きなのかな、なんて気がついたらまた彼女の事を考えていた。

17.→←15.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す