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たどり着いたコンビニの前。
ちらっと中を覗くとお客さんはほとんどいなかった。
雨もだいぶ落ち着いてきたし外で待とうかな。
【着きました】
着いたら連絡欲しいとの事だったので、メッセージを送る。
五分程すると、前方から小走りでこちらに向かってくる影。
それは一つでは無かった。
深澤「北条さん!」
岩本「お久しぶりです」
キャップにマスクとこれまた完全防備。
確か…岩本照さんだ。
待ってる間、SnowManと検索して見ていると身に覚えのある顔がいくつかあった。
この前喫茶店にコーヒーを取りに来た人たちもどうやらメンバーの方達だった様だ。
SnowManさんですよね?とは今更聞けないしこの際知らないふりしよう。
これから自分から連絡する事も無いと思うし。
『これです』
何とか気持ちを落ち着かせてカバンから取り出したスマホを渡す。
深澤「ありがとうございます!良かったぁ」
助かりました、と眉毛を下げて笑う深澤さん。
『えっと、じゃあ私はこれで』
ペコっとお辞儀してすぐにその場を離れようとしたら
深澤「えっ待ってください」
手を前に伸ばされて呼び止められる。
深澤「もう暗いしタクシー呼びますよ」
『大丈夫ですよ。駅すぐそこですし』
深澤「いやいや、わざわざ来てもらったんですから」
大丈夫だから、と何度言ってもなかなか引き下がってくれない。
今この状況も誰かに見られたらマズいのに。
岩本「…ふふ」
そんな私達の様子を見て何故か吹き出す岩本さん。
『…?』
岩本「いや、ふっか超必死だから。笑」
くははと目尻を下げて笑っている。
強面で少し怖いなって思ってたけど何か印象が変わる。
岩本「北条さん。許してやってください」
ね?と私が宥められる様な状況に。
ここまで来るともう断る方が悪い様な気さえしてくる。
そして何故かこのタイミングで岩本さんのスマホが鳴り、先に彼は戻っていった。
深澤さんと二人コンビニの前に並んでタクシーが来るまで待つ事に。
…これじゃ結局本末転倒だ。
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作者名:mamemiya | 作成日時:2023年1月29日 1時