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お店を出ると、外はまだ明るい。


再びマスクを付けてハットを被った深澤さん。
目が合うと、私の荷物に視線が移る。



深澤「すごい荷物ですね」


『今日は元々買い出しに来てたんです。つい買い込んじゃって』



抱えた紙袋を見せると、本当だ、と優しく笑う。



深澤「俺持ちますよ」


『え?いや大丈夫ですよ。…わっ』



既に私の手は軽くなり紙袋は深澤さんの手の中に。



深澤「これ位余裕ですから。もう帰りですか?」


『はい、そうですけど…』


深澤「俺もこの後帰るだけなんで。送ります」


『え、ちょ深澤さんっ』


深澤「ふふ、ほら早く早く」



私より先に歩き出す深澤さん。


焦る私を見て楽しそうに笑っている。



何だこれ…?


先を行く深澤さんを追いかけて並ぶとスマホを取り出してどこかに電話をしている。


どうやらタクシーを呼んでるみたいだ。


電話を切ると、こっちで待ちましょと駅前のベンチを指差した。



『深澤さん、私電車で帰れますよ?』


深澤「こんな重い荷物持って一人じゃ大変ですよ。もう呼んじゃったんで送らせてください。ね?」



タクシーなんてもう何年も使ってない。
深澤さんはよく使うんだろうか?慣れた感じだったし。


今更だけど身につけているものもハイブランドだし深澤さんって一体何者…?


謎は深まるばかりだったけど、気付いたら目の前にやってきたタクシー。



深澤「先どうぞ」


『ありがとうございます』



開いた後部座席に先に入る様促され、そのまま乗り込んだ。


深澤さんも並んで座る。



深澤「ここまでお願いします」


スマホの画面を運転手さんに見せている深澤さん。



狭い車内で並んで座っているのが変な感じだ。



ポツ…



『…あ』



何となく窓の外を見た瞬間窓ガラスに落ちた水滴。



深澤「わ、降ってきた」



通り雨だろうか小さな水滴がどんどん増えていって一気に本降りになった。


深澤さんの方を見ると



深澤「やっぱり呼んで良かったでしょ?」


『…ですね』


マスク越しだったけど笑ってるのが分かった。

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作者名:mamemiya | 作成日時:2023年1月29日 1時

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