20. 深澤side ページ20
深澤side
阿部「ふっかごめん！俺の力不足だった」
開いた口が塞がらないとはこの事か。
目の前で申し訳なさそうに手を合わす阿部ちゃんに言葉が出てこない。
渡辺「じゃあつまりふっか失恋ってこと？」
岩本「おい翔太。直球すぎ」
阿部「いや、そこじゃないんだって。まぁそこもなんだけど」
深澤「…いや、失恋ってなんだよ！そんで阿部ちゃんは勝手に何してんのよ」
久しぶりにリハ終わり時間が出来て数人でやってきた照行きつけの焼肉屋。
美味い肉にお酒と久しぶりの外食を堪能してそろそろ帰るかと席を立って準備していた時。トイレから戻ってくるなり手を合わせて謝って来た阿部ちゃん。
何だ何だと照と翔太が驚く中阿部ちゃんが話し出した内容は
謎の謝罪の言葉に続いて、先程廊下で北条さんに会ったこと。俺と話す時間を作ろうとするも連れの男性にさっさと連れて帰られたこと。多分だけどその男性にSnowManだとバレたこと。
情報量が多くて一瞬思考が追いつかなかったけど。
渡辺「だってタイプだろ彼女」
色々すっとばして相変わらず直球な言葉を投げてくる翔太。
タイプかタイプじゃ無いかと聞かれればもちろんそれはYESだよ。
綺麗な人だったし皆そう思うだろ。
でも、まだ二回しか会ったことないし彼女は一般人。
そもそも俺みたいなアイドルに興味無いと思う。
深澤「…そんなんじゃねえよ」
確かにこの前直接お店に行けなかったこと、お礼も言えてないことは心残りではある。
…また話せる機会があるなら話してみたいなとも思うけど。
阿部「すごいイケメンだったよ連れの人。
あ、今思えばめめに似てたかも。雰囲気」
渡辺「やべーなそれ。超イケメンじゃん」
阿部「どんな関係かは分からなかったけどね。
俺は完全に敵対視されてたと思う」
前で話す二人を黙って見ていると、トントンと肩を叩かれる。
叩かれた方を見ると照がじっとこちらを見ていた。
岩本「ま、何があっても俺はお前の味方だから」
まるで全てを見透かしたような表情をするから、思わず視線を逸らしてしまった。
深澤「…もういいから。ほら帰るぞ」
そういうあれじゃない。
そういう気持ちになる様な事も何も起こってないんだから。
…そんな風に考えてる時点で、気持ちが少しづつ傾いていることに俺自身この時はまだ気づいてなかった。
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作者名：mamemiya
| 作成日時：2023年1月29日 1時
