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箱に詰めたケーキはここにいる人数分の四つ。
『深澤さんはモンブランですか？』
何も考えずにそう聞くと、返事は無くなぜか静かになる四人。
モンブランを取りながら見上げると全員がこちらをじっと見つめてくる。
『…？』
岩本「ふっかケーキ食べに来たことあるんですか？」
ふっか。深澤さんのあだ名だろうか。
『はい。この前一度食べて帰られましたよ。その時にテイクアウトの件もおっしゃってました』
そうですか、と言いながらモンブランも追加で注文いただきケーキを詰めた紙の箱も一緒に渡す。
一人ひとつは紙袋を持っている。
四人で丁度いい量だったようだ。
岩本「急に頼んだのにありがとうございました」
三人が先に店を出た後、一人お会計で残った彼。
『いえいえ。こちらこそ沢山のご注文ありがとうございます。お口に合うといいですが』
岩本「ふっか、めちゃめちゃ美味い店だからって何回も言ってましたから。楽しみです」
そう言って笑う彼は最初の強面と印象が違った。
遠ざかる四人をドアの前で見送る。
一気に静かになる店内。
社交辞令かと思ったけど、実際こんなに注文してもらえると素直に嬉しい。
深澤さんには直接お礼は言えなかったけど、仕方ないか。
また美味しそうにモンブラン食べるのかな。
『…って、何想像してるんだ』
ひと口ずつ美味しそうに食べてた彼の表情を思い出したけど、すぐに中に入って仕事に戻った。
渡辺「…ふっかが好きそうな感じだったな」
岩本「俺も思った」
向井「ん？何の話？てか阿部ちゃんさっきからどうしたん？」
阿部「んー、何かどっかで見たことある気がするんだよね、彼女」
岩本「え、もしかして知り合い？」
阿部「いや知り合いではないんだけど。気のせいかなー」
ケーキとコーヒーをかかえてタクシーに乗り込み、街へと戻っていった。
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作者名：mamemiya
| 作成日時：2023年1月29日 1時
