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多分、いや絶対。
合ってると思う…うん。
たまたまお客さんが帰って誰もいなかったから良かった。
カウンターから見える入り口横の窓。
に映る数名の影。
「ここで合ってんの?」とか「なんて読むん読めへん」とか「不審者になってねえ?」とか。
声が大きくて中に丸聞こえである。
既にあなた方不審者ですよ、と思ったのは心に留めておく。
時計を見るとさっき深澤さんから来た電話から30分過ぎた時刻。
かれこれ5分近く中に入ってこない人影にため息が漏れたけど、とりあえず入り口に向かう。
あれ、でも深澤さんがいるならわざわざドアの前で留まらないよなと今更思いながらもギイッとドアを開けるとビクッと驚いている数名の姿。
『…いらっしゃいませ。ご注文いただいた方ですか?』
深澤さんの姿はなかったが、4人男性が立っていた。
とりあえず近くに立っていたハットをかぶっていた彼に視線を合わすと、目を丸くしてこちらを見ていた。
岩本「えっと…北条さん、ですか?」
『はい、そうです』
岩本「深澤の代理で来ました。深澤別件で来れなくなって」
ハットの彼の後ろに立っていた背の高い男性に話しかけられる。
深澤さんの名前が出て安心する。
違ったらどうしようかと思った。
『お待ちしてました。用意出来てるのでどうぞ』
とりあえず中に招き入れると、喫茶店には似合わない男性達が狭そうに並んで入ってきた。
サングラスの人もいれば、黒マスクの人もいてとにかく全員格好が派手である。
深澤さんもそういえば派手な格好してた気がする。
同じ職場の人なのだろうか。一体どんな職業なんだろう。
って、お客様のことを詮索するのは良く無い。
用意したコーヒーを紙袋に詰めながらカウンターに並べていく。
その様子を静かに見つめる人もいる中、先程話しかけてきた男性が何か聞きたそうにこちらを見ていた。
何だろう?と目線を合わすと
岩本「えっと…ケーキも頼めるって聞いてるんですけど」
なぜか恥ずかしそうに小さい声でそう言う彼の後ろで吹き出すように笑う他の面々。
あ、ケーキね。そうだ確か言ってたな。
『今日は3種類あります。お好きなものあれば是非』
ケーキを見せると美味そう!と覗き込む男性。
阿部「ちょ、康二落ち着いて」
向井「めっちゃ美味そうやん!俺アップルパイにします」
一人づつ選んでくれて箱に詰めていく。
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作者名:mamemiya | 作成日時:2023年1月29日 1時