． ページ8
佐久間「ねぇ、これから帰り？」
『あ、はい。忘れ物して取りに来たんです」
佐久間「そっか。ね、良かったら途中まで一緒に帰らない？」
『…ええ？！』
佐久間さんの言葉に驚いて思わず大きな声が出てしまうと、にゃはっと楽しそうに笑った。
佐久間「俺も丁度さっき補習終わったとこでさ。こうやってぶつかったのも何かの縁っていうか」
『は、はぁ』
これは喜んで良いのだろうか？
てか、学校一の人気者の佐久間先輩とクリスマスの放課後に二人で帰ってるところ見られたらどうなるんだろうか。
男性と普段話さない私でもファンクラブがある程に人気がある事は知っている。
明日には席無くなってたりして。
いや、それは笑えない。
佐久間「…あ、俺と二人は嫌だった？」
…もう周りに生徒はいないし。
クリスマスのちょっとした魔法…なんて。
そうやってキュルキュルした目で見てくるのは
ずるいです。先輩。
いろんな言い訳を頭に浮かべながら
気づいたらコクンとうなづいていた。
2人並んで歩く、ライトアップされた並木道。
さっきは1人で歩いてたから気付かなかった。
佐久間「綺麗だよねこの道。春は桜が咲いて冬はこうやってイルミネーションで照らされるんだよ」
高校に入ってはじめての冬だから知らなかった。
佐久間「丁度今年の春にね。
桜が舞ってるこの道で面白い事あってさ」
急に思い出したかの様に話し始める佐久間先輩。
佐久間「俺、スマホいじりながら歩いてたから前見てなくて。前から走ってきてた子とぶつかっちゃったんだよね」
私より少し背の高い彼の横顔を見上げる。
イルミネーションがその顔を照らして何だかとても綺麗だった。
佐久間「結構思いっきりぶつかっちゃって。
その子後ろにこけちゃってさ」
”ごめん、大丈夫？！”
佐久間「彼女の手を引っ張ったら、俺馬鹿みたいに力入れちゃってたから思いっきり俺の胸にぶつかっちゃって」
”鼻ぶつかったよね？！痛くない？！！”
佐久間「絶対自分の方が痛いはずなのに、お怪我してませんか？！って鼻の頭赤くしながら泣きそうに聞いてくるから…もう、俺たまらなくドキッとしちゃってさ」
あの時ぶつかった瞬間に香った甘い香りは
それから香る事は無かったから忘れてたんだ。
忘れてたのに、思い出すあの時の声。
ピタ、と足を止めると
横を歩いていた先輩もそんな私を見て足を止めた。
佐久間「…思い出した？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 844人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mamemiya(プロフ) - nagatakumikoさん» コメントありがとうございます✳︎そう言って頂けて嬉しいです。また新しい作品が出来ましたら宜しくお願いいたしますp(^_^)q (2022年12月30日 11時) (
レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
nagatakumiko(プロフ) - 最後まで読みました。みんなの話感動しました。 (2022年12月30日 7時) (レス) @page37 id: cc4ab27b52 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mamemiya
| 作成日時：2022年12月25日 19時
