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『あったあった』
無事に机の中に財布を見つけて一安心。
この時間はもう生徒は残ってなくて、静かな校舎。
もう暗いし早く帰ろ。
足早に教室を出て廊下を曲がったその時。
「わっ」
『きゃっ』
ドンっと角から出て来た人に思いっきりぶつかり
その拍子に後ろに倒れてしまった。
「ごめん！！大丈夫？！！」
静かな空間に響いた声。
…あれ、私この声聞き覚えがあるかも。
顔を見上げると心配そうに私の前にしゃがみ込んでこちらを見つめる丸くて大きな目。
その明るい髪の毛を廊下の照明が照らしてキラッと光る。
『さく…ま先輩』
佐久間「え、俺の事知ってるの？！」
思わずその名を呼んでしまった。
一度も直接話した事はない。
でも、多分一日に一回はその名をどこかで聞いていた。
時に女子の噂で、時に中庭でダンスする人たちの声で
佐久間！と呼ばれて楽しそうに大きな声で笑う人。
その笑顔が、キラキラしてて眩しくて
太陽みたいな人だなと思った。
学校一の人気者。
時々その姿を目にして
太陽の先輩だと勝手に心で思っていた。
佐久間「おーい、大丈夫？！」
『あっ、ごめんなさい』
目の前で手を振る先輩にハッと意識を戻す。
佐久間「はいっ捕まって」
『ありがとうございます』
目の前に差し出された手に自分の手を重ねると
ぐいっと一気に引っ張られて
『わっ、ご、ごめんなさい』
佐久間「…ふふ。ごめん俺も力強かったね」
トンッと佐久間先輩の胸にぶつかってしまった。
ふわっと香る甘い香りにドキッとして思わず体を離す。
…あれ、何だろう。
この香り、はじめてじゃない？
一瞬頭をかすめた何かはフワッとすぐに消えていった。
佐久間「ごめんねほんとに」
『い、いえ。こちらこそごめんなさい。
佐久間先輩はお怪我ありませんでしたか？？』
『…佐久間先輩？』
私の言葉にじっとこちらを見る先輩。
その表情は何を考えてるのか分からない。
私が呼びかけるとハッとした顔をして
フワッと笑った。
いつもよく見るキラッとした笑顔では無くて
すごく優しい顔をして笑うから。
…廊下が暗くて良かった。
赤くなった顔はきっとバレる事はないだろうから。
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mamemiya(プロフ) - nagatakumikoさん» コメントありがとうございます✳︎そう言って頂けて嬉しいです。また新しい作品が出来ましたら宜しくお願いいたしますp(^_^)q (2022年12月30日 11時) (
レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
nagatakumiko(プロフ) - 最後まで読みました。みんなの話感動しました。 (2022年12月30日 7時) (レス) @page37 id: cc4ab27b52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mamemiya
| 作成日時：2022年12月25日 19時
