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振り返ると、ユニフォームに厚手のダウンジャケットを羽織って立っていた照君。


私の姿を見て驚いた表情をしている。



『照君!』


岩本「どうしてここに?」



こちらに走り寄って、手に持っていたマフラーを私の首に周す。


心配そうに私の顔を見るその表情に、こんな時だけどキュンと胸が鳴る。



『えっと…』


岩本「今日、もしかして見に来てくれてたの?」


『あ、うん。…ごめんね勝手に来て』



思わず俯くとポンっと頭に大きな手が置かれた。



岩本「何で謝るの。…ありがとう、来てくれて」



また、好きな笑顔を見せてくれた。



岩本「試合の時さ」


『うん?』


岩本「最後、ゴール決める直前。
Aちゃんの声が聞こえた気がしたんだ」



あの時、私が照君に向かって叫んだ時。



岩本「何か一瞬で力が湧いてさ。
無駄な力が抜けてゴールしか見えなくて。
ボールを投げた時もこれは決まるって確信したよ」



Aちゃんの事好きすぎて勝手に聞こえたって思い込んだだけかもしれないけど、なんていたずらに笑うから



『…良かった。届いてたんだね』



ちゃんとあの時私の声が届いてたと分かって
嬉しくなって笑顔を向けると


じっとこちらを見つめる照君。




『…照君?…わっ』



背中に手が回って、気がついたらその大きな胸元が目の前にあった。



初めてこんなに近い距離に彼がいて


一気に心臓がドクドクと鳴り出す。




岩本「…そんな可愛い顔で見ないで。耐えられなくなるから」


そう言ってもっと強く抱きしめ直す照君。



しばらくそのままでいた後、ゆっくりと力が弱まって
顔を上げると近い距離で照君と目が合う。




岩本「…今日、本当はAちゃんに会いたかった」


『…うん』


岩本「帰り遅くなるから危ないし、試合の後だとAちゃんも気遣うかなって…ってごめん。こんなのただの言い訳だね」


『ううん。私も照君に会いたくて来ちゃったから』


岩本「…めちゃめちゃ嬉しい。ありがと」




ふふ、と笑い合う。


大好きな笑顔がすぐ近くにあって嬉しくて。


でも、すぐに真剣な表情になった。




そっと照君の右手が私の頬に添えられる。


ドキッと胸が鳴る。





岩本「大好きだよ、Aちゃん」





ゆっくりと近づいて唇と唇が重なる瞬間



パッと周りが明るくなった。




2人驚いてその方向に目をやると


部室棟の壁や階段がカラフルに点灯して
さっきの雪だるまも白く照らされていた。

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設定タグ:SnowMan , 短編集 , クリスマス   
作品ジャンル:恋愛
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mamemiya(プロフ) - nagatakumikoさん» コメントありがとうございます✳︎そう言って頂けて嬉しいです。また新しい作品が出来ましたら宜しくお願いいたしますp(^_^)q (2022年12月30日 11時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
nagatakumiko(プロフ) - 最後まで読みました。みんなの話感動しました。 (2022年12月30日 7時) (レス) @page37 id: cc4ab27b52 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mamemiya | 作成日時:2022年12月25日 19時

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