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数学担当の阿部亮平先生。
この学校で一番若い先生で、生徒からとても人気がある。
かっこいいだけじゃなくて
優しくて、授業も分かりやすくて。
理系は苦手だけど、唯一数学は阿部先生のおかげで好きになった。
黒板に書く文字すらも優しくて
フワッと柔らかそうな茶色い髪の毛にもドキッとして。
気づいたら好きになってた。
でも、彼は先生で私は生徒だから。
この気持ちを伝えることは出来ない。
阿部「…ごめん、分かりにくかったかな?」
『…へ?』
阿部「いや、ノート取る手が止まってたから」
困った様にこちらを見る阿部先生。
やばい、その後ろ姿ばかり見てて全然集中出来てなかった。
『ご、ごめんなさい!違うんです。ちょっとぼーとしちゃってて。先生の授業はめちゃめちゃ分かりやすいです』
早口でそう言うと、今度は安心した様に笑った阿部先生。
阿部「何か悩み事?」
パタン、と教科書を閉じる音。
私の前の席の椅子を引いてこちらを向いて座った。
こんなに近くで話すのは初めてだ。
ゆっくりとメガネを外した阿部先生は
何だか先生じゃないみたいだった。
『あ、あの』
阿部「ふふ、正直早瀬さん成績問題無いからさ。
せっかくのクリスマスだし今日はもう終わりにしよ」
先生じゃなくてプライベートな時間みたいに話すから
私の心臓はどんどんうるさくなるばかり。
でも目の前で楽しそうに笑う先生には
そんなの伝わらないんだろうな。
阿部「俺で良かったら話聞くよ?」
よいしょ、と今度は椅子にまたがる様に座って
組んだ両手を私の机に乗せた先生。
さっきよりも近い距離。
ねぇ、先生。
誰にでもそんな風に話をするんですか?
そんな風に話しかけられたら
みんな先生のこと好きになっちゃいます。
…ずるいです。
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mamemiya(プロフ) - nagatakumikoさん» コメントありがとうございます✳︎そう言って頂けて嬉しいです。また新しい作品が出来ましたら宜しくお願いいたしますp(^_^)q (2022年12月30日 11時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
nagatakumiko(プロフ) - 最後まで読みました。みんなの話感動しました。 (2022年12月30日 7時) (レス) @page37 id: cc4ab27b52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mamemiya | 作成日時:2022年12月25日 19時