409.上鳴 ページ9
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｢どの子よ、あの茶髪の子？｣
｢そうそう、あのふわっとした前髪ぱっつんの子｣
5人で食堂入口を凝視し、先程の女の子を緋龍に教えてやる。
騒がしい食堂でもこれだけ見られればさすがに視線に気付くのか、件の女の子がこちらを見て焦った様に隣の友達の背に隠れた。
｢ちょいお礼言ってくるね｣
｢はいよー、エビチリ食べていい？｣
｢いいよー｣
まさか緋龍にファンがいたとはなあ。なんて瀬呂と切島と話をしながら、駆けていく緋龍の背を見つめる。
女の子の元に辿り着いた緋龍はその子の手をとるやブンブンと振り回し、次いでにハグまでかましていたのでさすがにやり過ぎだと思ったが、女の子も幸せそうなのでまあいいだろう。
｢にしてもすげえタイミングだな、復学初日に｣
｢探してたんだと、ずっと。見つからなくて俺に頼ったんだろ｣
｢はーん、なるほどね｣
視線の向こう、茶髪の子に限らず他の女の子とも握手をしている緋龍はどうやら本当にファンクラブが存在するみたいだ。
｢キャー｣なんてアイドルでもいるのかと思う程の歓声が聞こえてくる。
正直、羨ましい。
｢まあ、緋龍美人だしな｣
｢確かに、こうやってみるとな｣
ずっと一緒にいるとつい忘れてしまうが、そういえば緋龍は美人だし頭もいいし運動神経もいい。
ヒーロー科には推薦、加えて首席で合格しているし、体育祭でも3位の実績だ。
何度かメディアに報道され、ヒーローとしての姿も公にされている。
…そりゃ、ファンも出来るか。
｢こりゃ男にもモテるだろーなー。なっ？かっちゃん｣
｢ンで俺に言うんだよクソが｣
｢ありえるだろーなー。…ほら、あれ見てみ｣
瀬呂に言われ爆豪からまた緋龍へと視線を戻せば、他の科であろう男子生徒が数人、頬を赤く染めながら緋龍と握手をしていた。
スマホまで取り出している奴がいるが、まさか連絡先を交換しようとしているのか？
｢ちょいちょい、俺らの緋龍が取られちゃうぜ？｣
｢…チッ、めんどくせェ｣
｢あーあー、爆豪は此処にいてくれ喧嘩になる。お前の姫は俺らが取り返してくるからさ｣
｢誰が誰の姫だっ！！｣
｢はははっ！！まあ落ち着けって爆豪！！｣
まあ、知らない男と仲良さそうにしている緋龍を見るのは俺らも気分が悪い。
｢さて…
取り返しにいきますかっ！｣
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作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
