407.上鳴 ページ7
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｢…で、勝己はどこ行ったの？｣
マズイ、気付かれた。
嫌、気付かない方がおかしな話なのだが。
一先ず、何故爆豪が今この場に居ないのか。俺から説明をするとしよう。
時はほんの数分前に遡る。
俺達はいつものように食堂に向かっていたわけなのだが、道中、いつもとは違う出来事が一つだけあった。
｢爆豪くんっ…！｣
廊下を歩いている途中、後方から聞こえる女の子の声。
その声は期間限定メニューの話をしながら前方を歩く緋龍と切島には聞こえない程の声量で、俺と瀬呂、そして呼ばれた本人である爆豪だけが後ろを振り返る。
｢あのっ…ちょっと…お時間いいですか…？｣
茶色のふわっとした長い髪に瞼あたりで切り揃えられた前髪。
大きな瞳に通った鼻筋、小さな口。
まあ、いわゆる美少女。
が、爆豪に声をかけたのだ。
｢…えっ！？爆豪この子知り合い！？｣
｢…知らねぇ｣
ヒーロー科の子では無い、恐らく普通科の子だろう。
そのぎゅっと握り締められた紙袋はこの暴君へのプレゼントなのだろうか。だとしたら俺は発狂する。
なんて思った時、前方にいる緋龍の存在を思い出す。
｢…あっ！俺ら先行ってっから！爆豪！後でな！ほら瀬呂も行くぞ！｣
｢だな！！じゃあ後でな爆豪！｣
｢あ"？…おいテメェら！！｣
美少女ちゃん、悪いが俺らは爆豪と緋龍の仲を応援しているんだ。
この状況を見られてしまえば緋龍は｢お？告白かっ！？いいじゃんいいじゃん！｣なんて言って爆豪を怒らせる。それだけは避けなければ。
という事で、俺達はやたらと緋龍に密着し周囲の情報を遮断していたわけである。
まあ__
｢やたらくっついて来て視界遮らせてんのバレバレなんだけど｣
こうしてバレてしまったわけなのだけれど。
切島には既に説明はしてある。爆豪が何気なく戻ってくるのを待つ作戦だったが、やはり緋龍には効かないか。
あの美少女の表情を見る限り、少し赤らめた頬、緊張からか少し震える手。
間違いなく"告白"だろう。
爆豪は間違いなく断るだろうが、この女はその話を聞けば間違いなく悪ノリして爆豪を怒らせる。
言っていい冗談と言ってはいけない冗談はこの世にはあるのだ。
｢ねえ、本当になんなの？｣
今朝の出来事もあってか、珍しく不機嫌な緋龍。
そりゃ隠し事をされて良い気になる奴はいないだろう。
そんな時、元凶である男は戻ってきた__
｢おい、A｣
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作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
