446.相澤 ページ46
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__『イレイザーっ…！直ぐに病院に来てくれ！緋龍さんがっ…！』
塚内さんからの切羽詰まった電話を取った直後。
何があったのか詳細を聞かずに、俺は雄英を飛び出した。
後ろからマイクやミッドナイトの呼び止める声が聞こえたが、止まる理由なんて俺には無い。
道中無理矢理タクシーを止め、病院まで走らせ、到着してすぐ受付に名を伝えれば、看護師は直ぐに俺を彼女の元まで案内してくれた。
｢Aっ！！｣
案内された病室に大声で名前を呼びながら入れば、真っ白なベッドに横たわるAが見えた。
右腕に巻かれたギブス以外には特に大きな怪我は見当たらない。
確か先程電話した時に右腕が痛いと言っていた。原因はその傷なのか、一体彼女に何があった。
｢…イレイザー」
彼女の頬を優しく撫でながら混乱気味でいれば、背後から名を呼ばれ勢いよく振り返る。
そこにいたのは複雑そうな表情を浮かべた塚内さんで、一体どうしたのかと
｢落ち着いてくれ…。恐らくストレスによるものだろうって｣
｢…は？ストレス…？｣
なんでまた突然。
と思った時、彼女に起こった出来事を思い出した。
｢4年前の事故がフィードバックして、ストレスから嘔吐してしまってね。…気を失ってしまった。すまない、配慮が足りなかった｣
｢そう…ですか…。すみません、問い詰めてしまって｣
｢いや、俺こそ…。すまないがここは任せていいかな＿｣
申し訳ないと何度も謝罪をして病室を出ていった塚内さん。
俺も遠ざかる彼の背中に頭を下げ、静かに寝息を立てるAを振り返る。
布団の上に力無く置かれた手をそっと握り、体温を分かち合うように両手で優しく包み込んだ。
｢…A、ごめん｣
彼女の担任なのに。
唯一の家族なのに。
そして何より…
『消太が、Aのこと守ってあげてね』
…大切な人に、彼女の母親に、任された身なのに。
｢燈華さん。…俺、どうすればいい｣
どうしようも無い気持ちを故人にぶちまけ、項垂れる。
守ってやらなきゃならないのに。
｢俺はっ…｣
体も心も、俺は何一つ守れちゃいない__
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作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
