443.ホークス ページ43
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そもそもの話。厄介そうもなにも、警察も公安も調べてはいるが何も情報が出てこないというのが現状だ。
さすがオールフォーワンに近い人物であるというべきか、情報の隠し方が上手い。
なんて考え事を悶々としていれば、聞こえる呼び声。
｢ホークス｣
｢…？どうしました？塚内さん｣
｢いや、ぼーっとしてるけど大丈夫か？｣
なんて、心配そうに俺を見る塚内さん。
そうだ、警察の捜査状況はどうなんだろうかと質問すれば、彼は深刻そうに眉間にシワを寄せた。
｢…お恥ずかしながら、何も掴めていない。収監中の敵にも話を聞いたが…それも収穫無しだったよ｣
｢緋龍さん本人には？話聞いたんですか？｣
｢いや…まあ…、そうだね。彼女が連合から逃れ帰還した時少しだけ聞いたんだけど…｣
｢彼女も何も知らないみたいだ｣と、深くため息をついた塚内さん。
きっと、彼女に深く追求しないのは精神面を心配しての事だろう。
幼い頃に亡くした父親が実は敵。
しかも、憎むべきオールフォーワンの側近。
ヒーローを目指す彼女にとって、あまりにも複雑な出来事だ。
｢彼女の父親の事も公にはしていない｣
｢…それが1番いいでしょうね。彼女の為にも｣
そんな時、右腕をきっちり固定し、いかにも怪我人という姿になった緋龍さんが戻ってきた。
｢頑丈すぎません？これ｣
｢ははっ！丁度いいんじゃないか？それぐらいしなきゃ動かすだろ？｣
｢塚内さん…私そんなにバカじゃないですよ…｣
｢ごめんごめん、冗談だよ。このまま事情聴取にうつっても大丈夫？｣
｢大丈夫です。あの、どのくらいで終わります？私今日の午後の授業ぜっったい出たくって…___｣
先程とは打って代わり、笑みを浮かべる塚内さん。
きっとこの話は彼女の前ではなるべくしたくないのだろう。
｢…ホークス？｣
｢…え？なに？｣
｢大丈夫ですか？ぼーっとしてますけど｣
｢はははっ！さっき塚内さんにも言われたよ。風邪かな？今日はもうお暇するよ｣
｢ええ、大丈夫ですか？気を付けてくださいね？｣
大丈夫大丈夫と軽く手を振りながら、2人に背を向け空へと羽ばたく。
神野の一件から既に数ヶ月が経過している。
何も情報が出てこないのならば、1番の親近者である彼女から少しでも情報を集めなければならないのは誰もが思っている事だ。
｢…そろそろ動くか｣
酷かもしれないが、もうそれしか手は無い__
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作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
