442.ホークス ページ42
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｢…ごめんなさい｣
『___るな…___怪我は____か？』
｢大丈夫だよ、なんとも……うん、ごめんなさい。右腕、ちょっと痛い｣
イレイザーと電話しながらそう言った彼女の右腕は、コスチュームは破れ、止血はしているのだろうが血に染まっていた。
そういえば何処と無く庇って戦っていたかもしれないと先程の彼女の様子を思い出し、塚内さんに救護班を頼む。
彼も会話を聞いて察したのだろう、直ぐに行動に移ってくれた。
｢__うん…うん。そう、個性戻ったの。……ん？……ううん、案外平気。暴走もしてないよ｣
戻った個性の感覚を確かめるように自身の血を数滴宙に浮かせた彼女は、その血で小さなナイフを創り出し、クルクルと器用に手の内で踊らせた。
操血という個性は、血液の微細な出力のコントロールや物を創るのに必要となる創造力は勿論のこと。
創った物を維持する集中力や、自分の体調面…所謂貧血状態を避けながら戦うというのは中々に難しい。
｢うん、ありがとう。A組のみんなにも大丈夫って伝えておいて？……うん、分かった。帰りは警察に送って貰う。…うん、ありがとうじゃあね｣
通話を切ると同時にナイフが液状化し、彼女の手の中に収まっていく。
随分と個性の扱いになれているなと間近で見て関心していれば、流石に視線が気になったのか｢…なんですか？｣と恥ずかしそうにこちらを向いた緋龍さん。
｢…あ、いや。個性使い慣れてるなって思って。操血って結構扱いずらい個性じゃん？｣
｢ああ、…まあそうですね。最初は出力わかんなくてすぐ貧血になっちゃいましたし｣
｢凄いね｣
｢…そんなこと。本当は、もっと色々出来るはずなんですけどね。お父さんみたいn____｣
お父さんみたいに。
そう言おうとして途切れた彼女の視線の先には、塚内さんと救護班。
一体どういう意味なのかと問おうとしたが、叶うことなく彼女は手当を受けに俺の元から離れていった。
緋龍さんの父親、"緋龍紅一"。
神野の事件で発覚した情報は、勿論俺の元にも届いている。
既に公安でも捜査が進められており、俺も情報収集をしている最中だ。
オールフォーワンと深く関わりのある人物。
加えて、かつて死穢八斎會にいたエリちゃんとも接点があるとなれば、彼の裏社会での顔の広さは自ずと知れる。
｢…厄介そうだ｣
あの緋龍さんの父親だ、そう簡単にはいかないだろうと1人苦笑を浮かべた__
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作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
