緋色 Part.9

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それから数分後__

｢…君は本当に事件に巻き込まれやすいね｣

｢…不可抗力です｣

ホークスのおかげでマスメディアは何とか躱すことに成功した。…まあ、仲睦まじ気なツーショットはしっかり撮られたが。

それから警察や救護班が到着し、パトカーから降りてきた塚内さんは私を見るなりそう言った。

｢今日は斎藤と病院に行く筈じゃなかった？｣

｢あ…えと…。行って、帰り道だったんですけど普通に巻き込まれました。私も被害者です｣

｢被害者は普通、敵を倒したりしないんだよ…｣

"斎藤"とは護衛の人の名前である。

勿論彼も警察で、塚内さんの知り合いだ。

｢しかも死者ゼロ…君が避難させたのか？｣

｢目に付いた人は。他にはいませんでしたか？｣

｢完璧だったよ、全員無事だ｣

塚内さんの報告を受け、安堵の息をつく。

ヒーローの到着を待てと注意されたけれど、長い道路の渋滞により遅れていたのも知っていた為、塚内さんは｢でもありがとう、君のおかげでこれだけの被害で済んだ｣と私の頭を撫でた。

｢…それで、何故ホークスがここに？またエンデヴァーに会いに来たのか？｣

｢ちょっと何ですか、俺が毎回エンデヴァーさんに会いに来てるみたいな言い方｣

｢ホークス、エンデヴァー大好きじゃないですか｣

｢……｣

｢図星だ｣

アウターの襟を口元に持っていき黙ってしまったホークスを見てニヤニヤと笑みを浮かべる。

そんな調子に乗った私に、｢…緋龍さん、覚えときな？｣と静かなお言葉を頂いたのでもっといじり倒したいところだったがこの辺にしておこう。

｢取り敢えず、事情聴取を…ごめん、電話だ｣

"事情聴取"という言葉に警察署まで行かなきゃいけないのか、授業間に合うかな。

なんて事を呑気に考えていれば、塚内さんの口から出た名前に私はギョッとした。

｢イレイザー、どうし__…ああ、いるよ、無事だ。…怪我？ああ〜…｣

｢かすり傷ひとつ無いって伝えてくださいっ…｣

｢あ…ああ、かすり傷ひとつな___…まあ、うん。…はははっ、バレバレだな。…ああ、変わるよ。緋龍さん、イレイザーからだ｣

｢え"っ…｣

｢早く出た方がいいぞ、ちょっとお怒りみたいだ｣

尚更出たくないだろ、それ。

ホークスに助けを求めても静かに首を振られ、若干涙を浮かべながら塚内さんからスマホを受け取った。

｢…もしもし｣

『お前は俺の心臓を止める気か？』

…ごめんなさい。

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