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｢っ…大丈夫ですか！｣
瓦礫を何とか退かし、下敷きになっていた人に声をかける。
意識はある、呼吸もしっかりしているし、怪我をしたのは足だけのようだった。
｢足意外に痛む場所はありますか？｣
｢っ…ないっ…｣
｢分かりました。一先ず貴方をここから安全な所へ運びます。腕は動かせますか？｣
｢ああっ…｣
｢では私の首に両腕を回して、しっかり掴まっていてください｣
相当な激痛なのだろう。涙を滲ませ顔を歪める男の人をそっと抱え、捕縛布で空中を移動する。
なるべく衝撃を与えないように、いつもよりも繊細に、優しく。
｢…はいっ。着きましたよ。ここなら安全です。そのまま絶対に動かさず、じっとしていて下さいね。すぐ救護班が来ますから｣
｢ああっ…ありがとうっ…！｣
と、こんな感じで残りの4名の救助も済ませ、足止めをしてくれていた迦楼羅の元に向かう。
迦楼羅は全身が炎に包まれている、この狭い街中で闘うのはあまり得策では無い。
｢迦楼羅！ありがとう一旦戻って！｣
【…A、あの敵何かがおかしい】
｢トリガー…増強剤ね。個性はなんだか分かった？｣
【単純な巨大化プラス、それに伴うパワーの上昇だろうな】
｢パワー勝負ってことね？おーけい、得意よ｣
腰の刀に手をかけ、迦楼羅に翼を頼む。
私を見る敵の目は余裕からなのか、弧を描くように曲げられ、その口からは下品な笑い声が溢れていた。
｢随分と余裕なのね｣
｢ふっはははっ！！ははははっ！！｣
トリガーで頭もイカれたか。
まともに会話も出来なさそうな敵に一先ず飛んで近付き、一太刀お見舞いしてやる。
どうやら痛みも感じなくなってしまったのか、体勢を崩したと思えばゆらりと立ち上がり、その大きな掌で私を叩いた。
痛覚もイカれたのかと驚いた私は反応が遅れ、情けなく吹き飛ばされた私は近くの噴水に激突。
｢どんだけトリガー打ったんだよあいつっ…！｣
ああ、最悪だ。
頭のてっぺんから足の爪先までビッショリ。
おまけに傷という傷に水が触れて痛むし、噴水の水は私の血で真っ赤に染った。軽くホラーである。
｢操血ないと不便ねっ…！｣
水飛沫を上げながら立ち上がり、不満を漏らす。
まあそんな事も言ってられない。
私はヒーローだ、市民を助けなければ。
そう自分を一括し、飛ぼうとした時。
｢やあ緋龍さん、大丈夫？｣
赤い羽根を散らしながら、彼は現れた__
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作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
