436. ページ36
.
｢はぁあ"ぁ"あ"あ"ぁっ…、なんっなのよっ…！｣
病院を出て数十分後、頭や腕から血を流し、盛大に溜息を吐いているこの状況。
目の前には超巨大敵、眼下には気絶した護衛、辺りは火の海だ。
いきなりの事で皆も訳が分からないだろうから、数十分前に遡り、事の次第を説明するとしよう__
｢お願いします｣
数十分前、車に乗り込み護衛の人にそう声をかけ発進した車は、いつもと変わらず雄英へと向かい始めた。
…筈だった。
｢…？｣
途中までスムーズに進んでいた車が突然そのスピードを緩め、遂には停止してしまった事に違和感を覚え、｢どうしたんですか？｣と後部座席から声をかけた時。
微かに聞こえる人の叫び声と、フロントガラスに叩きつけられた大きな瓦礫。
視界の隅に映る、逃げ惑う人々。
｢っ…！？マズイ！！緋龍さん！伏せてっ！！！｣
｢…はっ__｣
言葉の意味を理解するよりも前に、感じる浮遊感。
その次に感じたのは、叩きつけられた衝撃と痛み。
｢っ……！｣
割れたガラスによって腕や頭が傷つき、血が流れた。
思ったよりも強い衝撃に軽く脳震盪を起こしながらも、運転席で気絶している護衛の人を救おうと、ボロボロになった車の中から何とかして2人で抜け出す。
外に出ればそれはもう悲惨な状況で、私と同じように乗車したまま吹き飛ばされた者もいれば、降りかかる瓦礫に下敷きになっている者もいた。
｢はぁあ"ぁ"あ"あ"ぁっ…、なんっなのよっ…！｣
そして、冒頭に至る。
まあ、これが説明になっているのか否か…というところだと思う。
つまり簡単に言えば、病院の帰り道でドンピシャなタイミングで超巨大敵が暴れ始め、それに巻き込まれた。
ということである。
｢クソ敵がぁあ"ぁあ"あ"っ…！！！｣
募る苛立ちはその一言で取り敢えず済ませ、｢迦楼羅！｣と個性を発動し、学校外に出るということで一応の為コスチュームで来ていた事に感謝しながら捕縛布を手に握る。
敵退治よりも、先ずは人命救助が先決だ。
ざっと見た限り、車内に取り残された者が2名。瓦礫の下敷きになった者が2名。恐怖からなのか、その場で動けなくなり逃げ遅れた者が1名。計5名。
｢迦楼羅、私は救助に回る！あの敵の足止めを！｣
【承知した】
突然現れた巨大な炎龍に敵の矛先が向いている間に、痛む腕に顔を顰めながら人命救助へと向かった__
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 421人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
