435.爆豪 ページ35
.
｢___で、ここの数式は…｣
相澤先生に引き摺られるようにして出て行ったAと別れてから数時間。
授業は既に３限まで進み、退屈な数学の授業に小さく欠伸をする。
__…おせぇな。
昨日、数ヶ月ぶりに埋まった後ろの席はまたも空席になっており、席の主の遅い帰りに思わず眉間にシワが寄ってしまう。
いつも診察にどれだけの時間がかかるのか知らないけれど、朝出てから昼までかかる程長いものなのだろうか。
昨日の彼女の様子や、数日前の事を思い出し、いつもの心配性は何倍にも膨れ上がってしまっていた。
__クソッ…！
頭の中が彼女に対する心配で溢れかえり、何も出来ないもどかしさと、感情の行き場に困り悪態を吐く。
知らぬうち始まっていた貧乏揺すりも、机を叩く自分の指先も、気付いたのは隣の席の耳郎に声をかけられてからだった。
｢…爆豪、どうした？｣
｢あ"…？｣
｢いや、めっちゃイラついてるじゃん…｣
彼女のイヤホンジャックに肩を叩かれ、投げかけられたその質問。
自分の無意識な行動に小さく舌打ちを零せば、｢…え、舌打ち？｣なんて訳の分からなそうな視線を右側から感じた。
｢耳郎、緋龍の事でだからあんま気にすんなっ…｣
｢え…。ああ、なるほどね｣
｢何が"なるほどね"だっ…！｣
俺たちの様子を見てなのか、突然会話に割り込んできた瀬呂に見事言い当てられ、それに納得した耳郎に静かにキレ散らかす。
｢…ま、確かにちょっと遅いよな｣、と言った瀬呂も例外ではなく、Aを心配しているようだった。
そんな時、教室に授業の終了を知らせるチャイムが鳴り響き、軽く挨拶を済ませ昼休憩に突入した。
｢爆豪、心配しても仕方ねぇって。昼飯食いに行こーぜ？｣
｢別に心配なんてしとらンわっ！！｣
なんて嘘を吐き出し、財布を手に席を立つ。
何なんだろうか、やたら不安を感じるのは。
元々、とことんトラブルに巻き込まれるような奴だ。何があっても可笑しくは無いだろうが…いや、ただの気のせいだろう。
__なんて、そう思った直後。
｢…えっ！？緋龍さんっ！？｣
デクのうるさい声が、教室に響き渡る。
聞こえた彼女の名前になんだと視線を向ければ、デクの視線はスマホの画面に向いていた__
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 421人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
