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｢なっ…！？勝己までっ__｣
と、文句を言おうとした時。
私の言葉に被せるように、教室に響き渡る一限の終了を知らせるチャイム。
｢おっしゃ終わった〜｣とそそくさと去っていく電気たち。
｢…なによ、酷くない？ねえ？デク｣
｢えっ！？僕っ！？｣
皆してなんだよと後ろを振り返り、恐らくヒーローノートに新しい情報を書き足していたであろうデクにそう問いかける。
大袈裟に驚いた彼を真っ直ぐ見つめれば、｢…まあ、さ｣と言って優しい笑みを浮かべるデク。
｢皆、緋龍さんが大切なんだよ｣
｢…そっか？｣
｢ははっ、本人たちが秘密って言ってるなら僕からは何も言えないかな…｣
じゃあもういいか。なんて体を前へ戻せば席を立つ勝己が見えた。
何処に行くのかと問えば、｢のど乾いた｣なんて淡白な返事が返ってきたので、何か買いに行くのかと私も一緒に行こうと席を立つ。
｢私もコーヒー買う〜｣
｢お前コーヒー飲めんのかよ｣
｢飲めるわよ…そんなに子供舌じゃないわ…｣
何故コーヒーにするのか聞かれなくてよかった。
なんせ、『明日の学校が楽しみすぎて眠れなかった』なんて子供じみた事を言えば、今の状況だともっとバカにされるのは目に見えている。
｢はっ、どーせ今日楽しみすぎて寝れなかったんだろ｣
｢なぜ…わかる…？｣
｢テメェの考えてる事なんて大体分かんだよ｣
私の周りはエスパーばかりだ。なんて事を思いながら二人で廊下を進み、自動販売機でそれぞれの飲み物を買った帰り道。
突然、｢お前、寮は｣なんて前振りもなく聞かれるものだからもうちょっと会話ってものをしようかと苦笑を浮かべる。
｢戻るよ｣
｢…そうかよ｣
｢嬉しい？｣
｢お前それ絶対聞くけど意味あんのかよ｣
｢勝己が嬉しいなら私も嬉しいから｣
なんて、コーヒーを喉に流し込みながら勝己をチラリと盗み見る。
案の定顔は逸らされていたけれど、ミルクティー色の髪から除く耳は僅かに赤い。
｢勝己さあ、こういう質問弱いよねえ｣
｢〜〜〜っ！うるっせェっ！！｣
｢はははははっ！照れんなってっ！！｣
｢テッメェはっ…！｣
なんて、私のからかいから始まった鬼ごっこ。
前もこんなことしてたっけ。なんて満面の笑みで廊下を駆けまわる。
｢お前らっ！！何やってる！！｣
｢うげっ…！｣
暫くして相澤先生に捕縛されたのは言うまでもないだろう。
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作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
