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《やあ緋龍さん。夜分遅くにごめんね、久しぶり__》
｢…なんだろ｣
軽快な挨拶から始まっている彼からのメッセージは、起きていたら電話をして欲しいという内容のものだった。
いつもならばこの時間はぐっすり眠っているけれど、どんなタイミングだろうか。まさか起きているなんて。
それにしても、インターンは今休止中だし一体なんの用なのだろう。
何にしても、嫌な予感しかしないのは確かだ。
｢勝己ごめん、ホークスに電話かけてくるね｣
｢…ホークス？｣
｢うん、なんか連絡きて起きてたら電話してくれって。じゃあ、部屋戻るね｣
｢俺も戻る｣
一旦スマホの電源を落とし、勝己と共にエレベーターに乗り込む。
勝己が途中で降りたのを見計らって、もう掛けてしまおうと通話ボタンをタップし耳にスマホをあてれば、2コール程で直ぐに出てくれた。
『あれっ、まさか起きてるとは』
｢連絡して来といて何ですか｣
『はははっ！ごめんごめん。でも夜更かしはお肌に悪いよ？』
｢余計なお世話ですよ｣と呆れながらエレベーターを降り、部屋まで向かう。
『寝ないの？』という彼の問いかけに、｢ちょっと目覚めちゃって｣と返しながら部屋の扉を開けた。
｢それで？なんの用ですか？｣
『もう済んだよ』
｢…え？｣
『元気かなって、あれっきりだったからさ』
用事がまさかの安否確認。
喜べばいいのか呆れればいいのか。私にはもう分からない。
｢元気ですよ。学校も復学しました｣
『あ！まじ？やったじゃーん』
ケタケタとした笑い声を聞きながらベッドに寝転がり、ぼーっと天井を見上げる。
日本のNo.2ヒーローと夜中に電話しているというこの状況って結構やばいな。なんて事を思いながら、｢ホークスは？元気ですか？｣とありきたりな質問を返した。
『元気…って言いたいところだけど、これでも結構多忙でね。今も外だよ』
｢ええ…。なんでそんな時に私に電話してくるんですか…｣
『一緒に脳無を倒した仲だろ？こういう電話もいいかと思ってさ』
｢倒したのは炎司おじさんでしょ…｣
何を言っているんだこの人はと思いながらも、よく耳を澄ませば聞こえる風の音。
加えて、少し遠くで聞こえる車の走る音に、横断歩道が青になった音楽。
何処かでパトカーのサイレンも聞こえる。
その赤い翼で飛び回る彼は、自由に行動出来ない私とは正反対に思えて、少し羨ましくなった。
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作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
