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それから数分、彼は優しく私を抱きしめてくれた。
どれだけ気にしないように努めても、やはりあの出来事は私にとっては人生で1番のトラウマなようで、勝己がいてくれて良かったと心の底から思う。
｢ありがとう、勝己｣
｢…ン｣
｢もう寝よ。明日…っていうかもう今日か、学校あるしさ｣
｢テメェは病院だろーが｣
｢えっ、そうだっけ｣
どうやら私がソファで眠りこけている間にしょう兄からそんな様な話があったらしい。
危ない危ない、普通に学校に行くところだった。
｢ってか、また病院かー…｣
｢そんなに行ってんのか｣
｢週一で行ってるよ…｣
血液検査やらメンタルケアやら正直凄く億劫だ。
精一杯私の体調管理をしてくれている先生達には感謝しているけれど、病院はあまりいい思い出がないから行きたくないのが本音である。
｢個性、戻りそうなんか｣
｢んー…いつになるかはまだわかんない｣
｢操血って、自分の血の流れ感じんだろ。ねぇんか、そーゆーの｣
｢そうなんだけど…ないんだよなぁ｣
操血は血を流さないと使えるのかどうか分からないのだが、勝己の言う通り自身の体に流れる血…つまり血流を感じることが出来る。
個性破壊弾を打たれた時、血流が分からなくなり、自分の体が自分のものでは無いように感じたのをよく覚えている。
つまり、血を流さなくともそれがあれば個性が戻ったと分かるのだが。
生憎、気配は全く無い。
｢っていうか、冬だと余計分かんないのよ。血流悪くなるから｣
｢…確かに、冬は寒くて汗も出ねぇ｣
｢お、勝己も冬は調子が悪いタイプなのね。迦楼羅も冬は苦手みたいで…あ、てか冬コス頼まなきゃ｣
首周りとか脇下とかリンパが集中している部分を温められるコスチュームを思い浮かべ、明日病院から帰ってきたらパワーローダー先生のところにいこうと決めた。
｢また腹出してっと冷やすぞ｣
｢あれは私の要望じゃないって…｣
いつぞやのお腹丸出しインナーを思い出し溜息を吐く。
今度は思い切ってデザインも変えてみようと、色んなコスチュームを想像してみた。
そこで思い浮かぶ、翼に対応していて、飛ぶ為の軽量型で、防寒もしっかりされたとある人のコスチューム。
｢…ホークス｣
胡散臭い笑みを浮かべる彼が頭に浮かんだ時。
なんの偶然か、スマホに彼からのメッセージが届いた__
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作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
