424.爆豪 ページ24
.
｢びっ…くりしたあ…｣
｢何してんだよ｣
珍しく寝つきが悪く、何か飲もうと下に降りてくればそこにはこの季節にはそぐわない寒そうな格好をしたAがいた。
突然声をかけられ驚いたのか、大きく目を見開いたままこちらを向いたA。
｢いや…、ちょっと目覚めちゃって。お風呂入ってた｣
｢ンな格好してんなや、風邪ひくぞ｣
｢上の服忘れちゃって｣
｢でも寒くないから大丈夫だよ｣とはにかんだ彼女から、質問を返すようにどうしたのかと問われ、同じ理由だと冷蔵庫を漁る。
何時だか買っておいたスポーツドリンクを見つけ、冷蔵庫にずっと入れてあったからなのか固くなったキャップを開けて喉に流し込んだ。
｢いいな、私にもちょーだい｣
｢…ン｣
｢ありがと｣
いつの間に後ろにいた彼女にペットボトルを渡し、刺激の強い彼女の姿を視界に入れまいと視線を逸らす。
｢ぷっはあっ！｣なんてジジ臭いセリフには突っ込む気力も無く、キッチンを抜けソファへ腰をかけた。
｢寝ないの？｣
｢寝れねぇ｣
そんな何気無い会話をしながらただただぼーっとしていれば、ペットボトルを冷蔵庫に戻したAがこちらに向かって来るのが視界の隅に見えた。
なんとか視界に入れまいと努力はするけれど、如何せん俺も男だ。少しなら良いだろうかと下心が働き目線を上げれば、彼女の右肩、少し伸びた黒髪の間から大きな傷跡が見えた。
｢…お前、それなんだ｣
｢ん？｣
｢肩｣
｢…？…ああ、これか｣
｢保須のときのだよ｣なんて笑みを浮かべる彼女に近づき、思わずその傷跡に手を伸ばす。
あまりに痛々しいその傷跡は、彼女の白い肌では随分と目立っていた。
｢…？どした？｣
｢消えなかったんか｣
｢あー、うん…さすがにね。お腹も残っちゃって｣
そう言った彼女は突然キャミソールの裾を上げ、腹を露にした。
お前男に対してそれはどうなんだと思ったが、彼女の左脇腹にある大きな傷跡を見て俺は直ぐに顔を顰める。
｢…ひでぇな｣
｢やっぱり？｣
｢もっと自分大事にしろや｣
正直傷を負わせたクソ敵に死ぬ程殺意が湧いたが、ここで怒ったところで何が解決する訳でもないと、在り来りなセリフを口にする。
__…クソが。
彼女を精神的に追い詰めるだけでは飽き足らず、こんなに大きな傷跡まで残していきやがって。
募る苛立ちが抑えきれず、小さく舌打ちを零した__
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 421人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
