418.爆豪 ページ18
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それから1時間程経ち、砂藤の作ったケーキで締め、八百万の入れた紅茶を飲み始めた頃。
左肩に僅かな重みを感じ横を見れば、空になったティーカップを大事そうに抱えながらAが眠っていた。
｢緋龍って飯食うとすぐ寝るよなー｣
｢寮だと特にな｣
｢安心すんじゃない？｣
切島達の会話を聞きながら、Aの手からティーカップをそっと取る。
小さく呻き声が聞こえ一瞬動きを止め、また寝息を立て始めたのを見計らってテーブルへティーカップを置いた。
なるべく衝撃を与えないようにと体の位置をズラし、滑らすように彼女の頭を自身の太腿へと移動させ、所謂膝枕の状態へ体制を変える。
｢ふはっ、見て見て。なんか笑ってる｣
｢いい夢見てんな〜｣
騒ぐ上鳴に｢…起こすなよ｣と釘を指し、彼女の顔に掛かる邪魔そうな前髪をそっと退かした。
自分の手の甲を枕にして俺の膝で眠るAはアイツらの言う通り笑みを浮かべていて、どんな夢見てんだよとこちらまで笑えてきてしまう。
｢…あら、緋龍さん寝てしまったのですね｣
｢ヤオモモの紅茶飲むと絶対寝るね｣
｢かっわいい寝顔〜っ！｣
いつの間にか女子達も集まり始めていて、皆でAの寝顔鑑賞会のような空間が広がった頃、さすがに騒ぎすぎたのかAの眉間に皺がより、僅かに瞼が開かれた。
｢ん"ん"…？｣
｢やべ、起きちゃった｣
｢だから、起こすなって言ったろアホが｣
しかし、Aは動く気配は無く、眠たそうに数秒間瞬きし、少し目線が上がり俺の視線とかち合う。
｢…どうした｣と僅かに首を傾げれば、突然ふにゃりと効果音がつきそうな笑みを浮かべ、俺の頬に添えられる暖かい手。
｢かつき〜…｣
｢｢｢｢｢っ…！？｣｣｣｣｣
なんだ、その甘ったるい声は。
なんて思ったのは俺だけではないようで、この場にいた全員が僅かに頬を染め目を見開く。
｢ふふっ…かつき〜…｣
｢ンだよ…｣
ギュンッ。
なんて音が胸から鳴り響きそうだ。
｢ふふっ、緋龍さん寝ぼけていらっしゃいますね｣
｢いいなー爆豪。緋龍、俺は〜？電気ですよ〜？｣
八百万の撫でる手が心地良いのか、上鳴の声など気にも止めずにまた眠りについたA。
｢なんでっ！？｣と煩いアホに小さめの爆破をプレゼントし、Aを部屋まで送ろうと抱き抱えようとした時、寮の扉は開かれた。
｢邪魔する。緋龍いるか？｣
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作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
