417.爆豪 ページ17
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｢おい、いつまでボケっとしとんだ｣
｢…へっ！？｣
乾杯の挨拶の後も紙コップを両手で握り、ボケっとしているA。
声をかければやっと覚醒したのか、デカい目がさらに見開いた。
さっきからみっともねぇ顔してばっかだなと笑えば、｢な、なによ…｣なんて言って、小さく｢…カンパーイ｣と呟きジュースを口にした彼女はどうやらまだ状況が理解出来ていないらしい。
｢まだ分かってねェんか｣
｢私の…復学おめでとうパーティー…？｣
｢分かってんじゃねェか｣
｢突然過ぎてキャパオーバーしてる…｣
机の上に広がる豪華な料理を見て｢これも準備してくれたの…？｣と目を輝かせるAにクラスの奴らが皿によそい手渡す。
ありがとうと本当に嬉しそうな彼女を横目に、コーラを喉に流し込んだ。
喉を刺激する炭酸を感じながら｢おいしいっ…！｣と頬を垂らす彼女を見てまた笑みを浮かべる。
｢ありがとう皆っ…｣
｢突然だったからあんま準備出来なかったんだけどね｣
｢砂藤と爆豪が頑張ってくれてなんとか！｣
耳郎の一言を聞いて勢いよく俺を見るAはキラッキラに目を輝かせていて、あまりの眩しさに思わず目を逸らす。
｢ホント…？｣なんて逸らしたにも関わらず俺の視界に無理矢理入り込んでくるAが本当に喜んでいるようで、柄にも無く照れてしまう。
｢…ン｣
｢〜〜〜っ！！ありがとう勝己っ！砂藤くんもありがとう！！ってか皆ありがとう！！｣
｢おうよ！菓子作りなら任せとけ！｣
｢はははっ！喜んでくれて良かったぜ！｣
｢上鳴ちゃんと隠せるか不安だったわ〜｣
｢なっ…！？完璧だっだろ俺！！｣
人目をはばからず抱きついてくるAの行動なんてこの盛り上がった雰囲気では誰も気にしないようで、香る柔軟剤に昂っているのは俺だけのようだ。
そんな気持ちを押さえつけ、肩口に頭を押し付けてくる彼女の頭をあやす様に撫でれば、耳元で聞こえる｢…ホントに、ありがとう｣という声。
｢別に、付き合わされただけだわ｣
｢ふふっ、そっか｣
苦し紛れの言い訳も、きっと彼女にはバレてしまっているのだろう。
本当は彼女に喜んでもらう為に中華ばかりのメニューにした事も、きっとバレている。
それでも__
｢ほんっとに！ありがとう勝己！｣
この笑顔が見れるなら、なんだってよくなってしまうのだろう。
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作者名：HamA | 作成日時：2021年10月9日 7時
