Ｍｉｒｒｏｒｂｏｒｄｅｒ２ (ページ35)

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見つめられるページ35

怖い。怖い怖い怖い。
「ぁ…あ…」
慈悲の目が、愚者を見つめる目が、見つめる。俺を見ている。怖い。やめろ。見るな。見ないで。お願いだ…！
「…っ何だ、これ…おい！カヲル！？」
目の前がグラつく。気持ち悪い。怖い。死にたくない…。『死』…？
『何で…≪死ぬ≫って、思ったんだ…？』
「カヲル！カヲル！！気を持って！自分を見失ったらだめだよ！！！」
ハルが揺さぶる。視界が揺れる。４つの目が、眼が、俺を…。呼吸が出来ない。
『カヲル～』
誰かが俺を呼ぶ。聞き慣れた声。…誰だっけ…。
『カヲル』
ずっと一緒にいた、幼馴染。
『僕の名前はー』
憎たらしい笑顔がちらつく。頼りになる、笑顔。
「はぁ…はぁ…っ」
助けて、助けてくれ。…『チェル』
「カヲル。落ち着いて。深呼吸よ。」
前から髪の長い少女が抱き付いてくる。落ち着かせる為にか、背中をゆっくり撫でる。ゆっくり、肺に酸素を入れていく。頭が、少しずつ回り始める。
「…カヲル、大丈夫？ボクらの事、分かる？」
「あぁ…。わ、かる…。ごめん、心配かけた…。」
周りを見ると俺と同じような人たちが何人か見られる。と言っても、俺と同じくらいに重症な奴は見受けられない。
「皆が空想魔法をあまりしない理由はこういう事なんだ…。」
本当に上手く行ってしまうと、その空想に魅入られて自我が崩壊するそうだ。尚且つそうなってしまうと術者へのダメージも大きく、下手をすれば魔力欠乏で気を失ってしまうそうだ。…どうしてこんなに物騒な世界なんだろうな。早く帰りたい…(元の世界に。この際カオルの家でも良い気がしてきた)
「カヲル…、念のために医務室に行くか？」
フォイスが心配そうな顔で覗き込む。一瞬ミカの顔がよぎる。あぁ、お前は…ミカの鏡写し、か。
「大丈夫…だから、少し…外に…」
視界が暗転する。急いで誰かが俺の身体を支える。立ちたくても、立てないまま、そのまま俺は、
意識を失った。