Ｍｉｒｒｏｒｂｏｒｄｅｒ２ (ページ29)

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披露試験：初日ページ29

既に会場には人で溢れかえっていた。皆、顔が真剣に引き締められ、本気なのが見て取れる。誰だって、自分の身に危険がよれば本気になるし、本性を現すことだってある。だからなのだろか、この世界では危険とは知りつつも披露試験(品定め)という人柱(生贄)を選定し、捧げるのが。
「…カヲル。こっちよ。」
他の皆を探しているとチェルが手招く。何とか人をかき分けてチェルの元へと行くと手を引かれて皆の元へと連れていかれる。
「とうとう今日だね…！」
「まぁ、おれたちの出番は明後日だけど。」
　そう。披露試験(アンリヴァン)は３日間行われるのだ。１日目は歌唱。２日目は芸術。そして３日目に舞踊となる。…よりにもよって最終日という最悪な日だ。何故学年で分けないんだ…。
「とりあえずどうしますか？このまま練習しますか？それとも観戦してますか？」
「そうだなー…。じゃあ今日は自主練でいいんじゃない？各自自由行動ってことで。」
　…気楽だな。まぁそうか。こいつらにとってはもう慣れたものなんだと思う。さてさて、俺は…どうしようかな。観戦しててもいいし、練習するのも手ではある。
「カオル姉、一緒に見に行きませんか？チェル先輩と一緒に。」
　悩んでいるときにレナにそう誘われた。…まぁ、何となく俺は誘った意図を理解したので承諾し、会場の観戦席に行く。席はそこそこ埋まっているが３人一緒に座れる席を見つけるとそこへと向かい、座る。一番右にチェル、真ん中にレナ、一番左が俺という順番だ。多分、これが一番話しやすい位置だろうか。
「さて、チェル先輩、カヲル兄。話を聞かせて下さい。」
「あら？バレてしまったのね？」
　軽くそこら辺の説明をし、チェルに何故入れ替わっているのか、などなどの説明を託し、舞台の上を見る。
　披露試験(命をかけた戦い)、初日が始まる。