冷たい手-1-【紫】 (ページ28)

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陽も傾いてきたので、二人寂しくではあるがせっかくなのでバーベキューをすることにした。
テラスに備え付けてあるコンロに火をつけようとするが海外製のもので説明書を見てもよくわからず実花と途方に暮れていた。

『わかんない・・・』

実花「どうしよっか・・・ここ、スタッフの人も16時で帰っちゃってるみたいだし・・・
あ！お隣の人に聞いてみるのは？」

『え・・・いきなり行って迷惑じゃない？』

実花「でもこのままだとバーベキューできないんだよ？」

大量の食材を目の前にして、それは何が何でも阻止したかった。

『・・・行こっか。』

隣のヴィラまで行き、チャイムを鳴らす。
しばらくして「はーい！」という声とともにガチャと扉が開く。

『こ、こんばんは。あの、突然すいません。ちょっと、お願いがありまして・・』

「・・・・あ、・・・濱ちゃんの・・・。」

・・・ん？

・・・はまちゃんの？

え、と上を向くとそこには背の高いイケメンお兄さんがいた。

『・・・え、あの・・・？？』

「あ、ごめん。なに？」

『え、あ、えっとバーベキューコンロの火がつかなくって・・・
あの良ければ手伝っていただけないかと・・・すいません。』

「あぁ・・・・えっと、スタッフの人とかは？」

『あ、それが16時には帰っちゃったみたいで・・・

あの、ごめんなさいお邪魔して。やっぱり自分たちで＿＿

「望～どした～？」

背の高いお兄さんが少し迷惑そうだったから諦めて帰ろうとした時、
お兄さんの後ろから声がして現れたのは＿＿＿

『・・・は、濱田・・さん？』

「＿＿＿え？A・・・ちゃん？」

どういうこと？と濱田さんと私を交互に見る実花と、
目の前では背の高いお兄さんが「はぁぁ」とため息をついている。