緋色 Part.8

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｢…嫌。｣

地面を這いずり、彼が落下したであろう場所を屋上から見下ろす。

そこには意識が無いエンデヴァーと、完全に再生仕切った脳無がおり、あまりの絶望的状況に言葉を失う。

なんでこんな時に私の身体は動かない？私は一体何してる？動けよ、行け。今すぐ早く。ダメエンデヴァーが死んじゃうもう目の前で誰も死なせないんじゃなかったのか？何の為にヒーロー目指してる？行け、無理？熱い熱い、身体が熱い熱い熱い熱い。

【A、私の名を呼べ。】

｢っ…！？｣

頭の中がグチャグチャで自分の現状が理解出来なくなり始めた頃、ずっと、ずっと聞きたかった声が頭の中に響き渡った。

そうだ、この熱。忘れていた、あの時も確かにこんな感覚だった。

…ああ、やっとだ。やっとっ！！！

｢迦楼羅っ…！！！！！！｣

懐かしい名を呼んだ瞬間、身体から引いていく熱と目の前に現れた巨大な炎龍。

以前よりも比にならない程の大きさで少し驚いたが、今はそれどころでは無い。背後で炎が上がっているのが見える。エンデヴァーがまだ戦っているんだ、赤い羽根も見える、加勢に行かなければ。

【再会を喜んでいる場合では無いようだな。A、力を貸す。】

｢ありがとう迦楼羅っ…！久々でいきなり申し訳ないんだけど、分身って出来るっ…？実態したまま、翼を私に貸して欲しいっ…！｣

【『今のAの力』ならば問題ない。】

｢よしっ…！戦力が二人分増える！迦楼羅！あの炎の個性の彼に力を！…行こうっ！！！｣

【承知した。】

久々に空を飛ぶ感覚に嬉しさを覚えながら、迦楼羅と共に二人の加勢に向かう。

恐らくあの脳無、再生能力が飛び抜けて高い、一度に消滅しなければ再生されての繰り返しだ。

だが、迦楼羅とエンデヴァーならば出来るはずっ…！

｢ホークス！エンデヴァー！加勢します！｣

｢緋龍さんっ…！個性戻ったの！？｣

｢迦楼羅だけです！血は使えない！それより…！｣

考えてる事はどうやら同じだったようで、顔を見合せ頷き合う。

もうこれしかない、頼みますっ…！！

｢俺の羽でスピードをっ…！｣

｢迦楼羅で火力をっ…！｣

｢｢背中押しますよっ…！No.1っ…！！！！｣｣

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