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｢…お姉ちゃん？｣
｢っ…！？あ、ああ。ごめんね？何でもないよ｣
落ち着け、私。
お母さんもお父さんはもう居ない。
失った個性もそのうち戻るんだ。
過ぎた事を一々振り返るな。
｢っ…！お姉ちゃん、手っ…｣
｢…えっ？｣
そういえば、なんだか手のひらが痛い。
なんて思い握っていた拳を開けば、知らぬうちにとんでもない力を込めてしまっていたのか、爪が食い込み血が広がっている。
手のひらを転がる血が一滴、地面に落ちて染みを作った。
__…あーあ、何やってんだよまじで。
｢ごめんね、大丈夫だよ｣なんて最早口癖になってしまった"大丈夫"を口にし、ハンカチをあてがう。
これじゃあエリを抱えられない、一先一旦寮に戻って絆創膏でも貼ろう。
畜生、個性が使えれば止血できるのに。
なんて一人悪態をつけば、聞き慣れた声が鼓膜を揺らした__
｢てめェは自分を傷つけるのがホントに好きだなあ、ドMが｣
…え？
｢勝己っ！？…って、皆っ！？｣
｢おっす〜A〜！なにやってるん？？｣
｢迦楼羅見えたから来てみた！｣
｢ってかエリちゃんじゃん？なになに、これからなにすんの？｣
勝己の声がした方へ振り返れば、勝己どころかA組の皆がいた。
皆私服だし。
…あれ？今日何曜日だっけ。
｢A、今日は土曜日だから皆休みだ。…って、お前その手どうした｣
｢焦凍…。あ、いや、これは何でもないよ。ちょっと切っちゃって｣
｢マジか！私絆創膏あるよ！あげる！ってか貼ってあげるわ！｣
｢あら！ダメです！先ずは消毒しませんと｣
｢葉隠さん…八百万さん…あの、ありがと…｣
八百万さんの個性で消毒液を作り出し、傷口を消毒し絆創膏を貼ってくれた葉隠さん。
しまいには包帯まで出てきた所で、さすがに大丈夫だと声を上げた。
｢だ、大丈夫！そんなに痛くないから！ありがと！｣
｢そうですか…？必要ならいつでも言ってくださいね？｣
｢緋龍ー、お前何してたん？ここで｣
｢え、ああ。エリと遊ぼうと思って。迦楼羅で一緒に空飛ぼうと思ったけど手切っちゃってさ｣
｢成程！！それなら私にお任せあれ！｣
｢え、お茶子…？｣
電気の質問にそう答えれば、ゼログラビティの個性を持つお茶子がエリを浮かせ、しまいには皆それぞれの個性を使ってエリと遊び始めてしまった__
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作者名：HamA | 作成日時：2020年10月12日 15時
