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｢何食ったんだ？｣
｢蕎麦だよー｣
｢…意外と渋いんだな｣
｢焦凍の好物だからね｣
轟家での食事が終了し、まだ一緒にいたいと涙を流す冬美姉さんにまた会いに来ると約束をし乗り込んだ学校の車。
そして冒頭の会話に戻るのだが、まあ中々にキツかったよと静かにしょう兄に耳打ちをした。
｢A、また来てくれるのか？｣
｢勿論、行っていいなら是非｣
｢…来て欲しい。Aが来ると夏兄も姉さんも喜ぶから｣
｢焦凍は？｣
｢…え？｣
｢焦凍は嬉しい？｣
なんて意地悪な質問をしてみれば、意外にも頬をちょっぴり赤くしてそっぽを向く焦凍。
焦凍、雄英に入ってから表情に変化が見られるようになったなあ。
無表情から僅か一ミリ口角が上がったか下がったか、僅かな眉間の皺寄りだったり、そういう些細な変化で君の感情を読み取っていた私にとっては凄く嬉しいよ。
｢…嬉しいから、来て欲しい｣
｢ふふふふふふっ、勿論だとも｣
｢A、その笑い方不気味だから辞めとけ｣
｢わーしょう兄酷い｣
可愛い親戚の笑顔を不気味だなんて酷い男。
お母さんに言いつけてやろ。
｢今日も、来てくれて良かった。…夏兄も、喜んでたと思うから、その｣
｢ははっ、別に大丈夫だよ。夏雄兄さん元気そうで良かったし、また皆でご飯食べよ。…次はしょう兄も一緒かなあ！！！｣
｢…勘弁してくれ｣
わざとらしく語尾を大きくすれば、しょう兄は汗をながしながらそっぽを向いた。
勘弁しない、今日私を見捨てたろ。
人様の食事に対して酷い言い草だと思うが、地獄だったのだ。許して欲しい。
｢相澤先生にも食べて欲しいって、姉さん言ってたので｣
｢…分かったよ｣
｢言質取りました｣
なんて、警察の真似事をしてみる。
まあ、轟家の事は私が関与することでは無いし、きっと良い方向に向かっていく筈だ。
__…それに。
こんな事を言っては失礼かもしれないけれど、両親や兄弟のいない私にとっては、喧嘩の出来る家族がいる事が羨ましい。
そんな事を言えるような関係では無い事は十分分かっているけれど。
__仕方の無い事でしょう？
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作者名：HamA | 作成日時：2020年10月12日 15時
