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｢無事で何よりだよ。個性の件も嬉しい限りだ｣
｢御心配お掛けしました、校長先生｣
数時間後、準備を済ませしょう兄と共に訪れた校長室。
冒頭の会話から始まった、いわば事情聴取。
私の個性の件以外にも、昨日の事件の話も聞きたいと此処には塚内さんもいた。
｢昨日今日で済まないね｣
｢大丈夫ですよ。それより、私も訳が分からない状況だったので話せる事はあまりありませんが…｣
そう、私には何故ああなったのかの理由など一つも分からない。
突然脳無が現れ、私達を襲い、町を滅茶苦茶にした。
それだけが私の知る事で、揺らぎ様のない事実。
｢…まあ、エンデヴァーとホークスからも話は聞いたが、二人も同じ様な感じだったよ｣
｢っ…、エンデヴァー目をさましたんですか？｣
｢ああ。昨晩、日を跨いですぐかな、目を覚ましてね。明日には退院だ｣
｢そう…ですか…｣
良かったとか細く呟き、安堵の息を吐く。
様子を見に行くのは流石に止められるだろうか、後でしょう兄に掛け合ってみようと考え事をしていれば、塚内さんに声をかけられ顔を上げた。
｢今日は注意喚起もしに来ててね。…分かっているとは思うけれど__｣
｢敵連合、ですよね｣
｢…ああ。荼毘はあの時、ホークスやエンデヴァー、上がり立てと言えどNo.1とNo.2がいる中でも君を攫おうとしたらしいね。それだけ君の存在が奴らには必要という事なんだろう。より一層、警戒を強めて欲しい｣
｢…はい｣
これはもっと外出が出来なくなりそうだなと溜息を吐く。
炎司おじさんのお見舞いも行けそうもないだろう。
｢私からは以上だよ、有難う｣
｢いいえ、あまり力になれなくて申し訳ありません｣
｢ははっ、大丈夫だよ。校長、お時間有難う御座いました｣
｢とんでもない、いつでも協力するからね｣
挨拶を済ませ、校長室を出ていった塚内さんの背を見送り、校長先生を振り返る。
｢疲れてるだろう｣
｢有難う御座います…｣
差し出された紅茶に手を伸ばし、一啜り。
程よい甘さと暖かさが身体を巡り、ほっと息をついた。
｢続けてで悪いけれど、少し話をしようか｣
｢はい｣
それから数時間、校長の長い話を挟みながら昨日の件について話せるだけの事を話した__
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作者名：HamA | 作成日時：2020年10月12日 15時
