13.轟 ページ13
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除籍処分、退学ってことだよな。
それは嫌だな、頑張ろう。
俺はしっかり結果を残そうと、まずはソフトボール投げの方へ足を向けた。
さっさと投げてしまおうと思ったが、円の中には既に人が立っていた。
…Aか。
久しぶりに再開した友人の姿を暫く眺めていると、足元にボールが転がってくる。
それを拾い上げ、周りを見渡す。
｢あー！僕です！ありがとう拾ってくれて。｣
｢ああ。｣
緑色の髪の男に拾ったボールを渡す。
ついでに自己紹介もしてくれた。
こいつは緑谷と言うらしい。自分も自己紹介をした。
｢轟くんは緋龍さんと知り合いなの？ほら、さっき仲良さそうに話してたから。｣
｢ああ、小学校が一緒だったんだ。｣
へえ、そうなんだね。僕少し前に彼女にお世話になったことがあって、
と話していればソフトボール投げの辺りがザワザワし始めた。
不思議に思いそちらに目を向ければ、Aが右手から血を流していた。
ああ、そういう事か。
俺はあいつの個性知ってるからなんとも思わねえけど初めて見る奴は驚くよな。
と彼女の方を見ていれば
｢緋龍さんは、どんな個性なの？｣
と緑谷に質問された。
｢…Aの個性は、凄く綺麗だ。｣
そう言ったと同時に、Aの右手から地面に落ちそうだった血が、重力に逆らい宙に浮く。
｢あいつは自分の血を操る個性だ。｣
彼女が自ら作った傷口から更に血が出る。
その血は彼女の右肩から右手まで全体に膜を張るように密着する。
…久しぶりに見たが、あんな繊細な使い方もできるようになったのか。
感心していれば、｢よしっ！｣と彼女は右手を思いっきり握り、地面においてあったボールを掴んだ。
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作者名：HamA | 作成日時：2020年8月27日 16時
