chocolate...2【黄】 (ページ43)

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sweet...90 ページ43

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バレンタインが近いこともあって
ありがたいことに
たくさんお客様が来てくれてる。

ショコラを作っても作っても
間に合わないレベル。

もともと最小人数の
私と元、時々ライカちゃん、しかいない店だから
もう厨房も販売も
いっぱいいっぱい。

身も心も、
ショコラのことでいっぱいいっぱい。

…なんてのは嘘。

何してても、
あ、このショコラ照好きだったなとか
あの人雰囲気、照に似てるなとか

ふとした時に心の中にあるのは照だけ。

会いたくてたまらなくて
ぐっと堪えては、
胸の奥の方がぎゅっと苦しくなって
息がしずらくなる。

何度も言うようだけど、
自分で会わないって言ったくせにね…

元「おい、聞いてんのか？」

『へ？あ、ごめん。なんだった？』

元「はぁ…
　顔にチョコついてる。」

そう言って元は私の顔についたのを
親指で拭った。

『っ…///』

誰かに触れられるのが、
なんだか久しぶりな気がして、

ぶわっと何かが込み上げる。

『、ちょっ、鏡見てくるっ///』

元「………え？
　 (何今の反応！？///)」

慌ててその場を離れた。

何？この感情？

元に触れられただけで
なんか胸が熱くなって、
急に恥ずかしくなった。

今までそんなこと一度も無かったのに！

え？ちょっと照に会えてないからって？
え？欲求不満？

え？なんなの自分…
気持ち悪い…

洗面所の鏡の前に立って
そこに写る自分の顔を見て

ゾッとした。

チョコが付いてる以前に、
クマがひどいし、肌荒れはしてるし、
結んでるけど髪に潤いがないのが分かる。

こんな顔で毎日お客さんの前に立ち
元と一緒に仕事してるのかと思うと

情けなくなってくる。

やっぱり、こんな顔で照に会ってなくて
ほんとに良かった…

だし、ちょっと元に触られたくらいで
何動揺しちゃってるんだろ。

弱すぎるだろ自分。

『しっかりしないと…』

顔を洗って頬を叩いて
気合いを入れる。

元「お、おい。」

『んなっ！///
ハジメ……な、なに？』

改めて顔を上げると
鏡に元の姿が写ってて、
ドキッとした。

元「あいつ、来てる。」

『…あいつ？』

元「お前の…彼氏。」

『…え！照？！』

元「うん。」