chocolate...【黄】 (ページ5)

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ガラスのショーケースに並ぶショコラを

キラキラした目で見ているそのお客様。

「うわー、、、うまそー、、、」

ちゃんと見たかったのか
深く被っていた帽子を
少し浅く被り直して、

またマジマジとショコラを見てる。

その様子が可愛くて、
ついこちらまで頬が緩む。

改めてちゃんと見えた顔は、

どちらかというと強面？
な人なのに、すごく幸せそうにショコラを見ていて

これがいわゆるギャップ萌えってやつ？

なんて思っていた。

『すみません、もうこれだけしか残ってなくて、、、』

「今日オープン初日ですもんね！
　残っててよかったです！」

『あ、ご存知頂いてたんですね！
　光栄です！』

「ずっとオープン楽しみにしてたんで！
　
　これ、全部下さい！」

『え、、、ぜ、全部ですか？』

「はい！全部で！」

残りは少し、といっても
20個くらいは残っている。

「あ、それと、
　このフィナンシェとマドレーヌも！」

『いいんですか？
　たくさんありがとうございます！』

ニコッと笑うその人。

また胸がキュンとした。

『こんなにたくさん、、、
　彼女さんにプレゼントとかですか？』

お客様にこんなプライベートなこと聞くの
良くないな、と思いつつも
静かな店内に
無言になることも嫌で

いつもなら聞かないことを、思わず聞いてしまった。

「いえ、全部自分で食べます。」

『え！この量を全部おひとりで？』

「はい！、、、ダメですか？」

と、ちょっと拗ねたような顔をする。

『あ！いえ、すみません！
　すごく嬉しいです！

　全部買っていただいたので
　こちらの焼き菓子はサービスさせていただきますね。』

「え！いいんですか！？
　そんな悪いですよ、、、」

『いえいえ、オープン楽しみにしていただいていた
　ってお言葉、すごく嬉しかったので、、、』

「そんな！事実なんで、、、
　てかほんとにいいんですか？
　そんなこと勝手にしても、、、」

『はい！いいんです！
　私、店長なんで。笑』

「えっ！！店長さん？！」

『はい！こう見えて店長、オーナー、経営者です！笑』

「そうだったんですね！
　すみません、てっきり学生さんかと、、、」

『ふふふっよく言われます。
　若く見られるのは嬉しいです。笑』

「失礼しました。笑

　ではお言葉に甘えて、、、」

『はい、またぜひ来てくださいね。』

「はい！必ずまた来ます！」