sweet...99 ページ3
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【Hikaru side...】
14日
収録が少し押してしまって
終わるのが遅くなってしまった。
Aにすぐ連絡を入れたら、
お店はもう閉まってしまったらしく
『家にいるからゆっくりで大丈夫だよ。』
なんて連絡がきてたけど
やっぱり早く会いたくて
無意識に急いでしまってる自分がいた。
足早に車を走らせていると、
こんな時間までやってる一件の花屋さんを見つけて
思わず車を停めた。
入ってすぐ目に入った花で
花束を作ってもらい、
またすぐ車を走らせた。
いつもの駐車場に車を停めて
店に向かう。
裏口からもらっていた合鍵で開けて
中に入る。
このチョコレートの香りを嗅ぐと
なぜかホッとする。
以前はこの甘い香りに
無性にドキドキしていたけど、
気づいたら、ホッとする落ち着く香りに変わっていた。
いつからだろう…
なんて考えながら2階へと向かう。
Aの居住スペースである扉の鍵は開いていた。
手に持ってる荷物を
なんとなく背中に隠しながら
そっと扉を開けて中を覗く。
Aの姿はまだ見えない。
照「おじゃまします…」
いつもならすぐに駆け寄ってきてくれるA。
ちょっと不安になりながら
中へと足を進めると…
ソファで眠ってる愛おしい彼女の姿があった。
(そりゃぁ疲れてるよな…)
以前より更にこけてしまっているような気がする
頬をそっと撫でる。
指から伝わる少しの体温ですら
愛おしく思えて、
胸の奥から湧き上がってくるなんとも言えない感情に
なぜか泣けてきた。
『ん……』
ゆっくり開く大きな瞳に
慌ててその涙を拭った。
照「あ、ごめん。起こした。」
『んーん。お疲れ。
照、会いに来てくれて
ありがとう。』
少し寝ぼけた表情で
やわらかく、ふんわり笑う
その笑顔が
あまりにも可愛くて美しくて
また泣けてきたから
誤魔化す様にぎゅっと抱きしめた。
照「大好きだよ。A。」
『なにー、どうしたのー?
ふふふっ、私も。大好きだよ。照。』
もし、今日というこの日が、
Aにとって悲しい日だったとしても
俺はこの日にめちゃくちゃ感謝するよ。
Aにも、Aのお母さんにも。
照「A、誕生日おめでとう。
生まれてきてくれて、ありがとう。」
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作者名:Aym:) | 作成日時:2022年10月25日 14時