ナイトとツンデレ (ページ9)

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ナイトとツンデレ8 ページ9

ガチャッとドアを開け部屋に入る。
白を基調とした部屋なにやら黒いものがある。

『なんでいるのよ…帰って』

純白のベッドの上に凛月が眠たそうにあくびをしながら座っていたのだ。
凛月は特に動くこともせず口を開く。

『セッちゃんが心配してたからね〜…。
それになんで泣きそうなわけ…？』

(人1)はぎゅっと拳に力を入れて耐える。
ここで口を開くと関係ない凛月にまで文句を言ってしまいそうだ。
泣いてしまいそうだ…涙がこぼれそう…口の中に広がる鉄の味が気持ち悪い…。
もう何がなんだかわからなくなりそうで自然と涙が頬を伝った。

『や…だ、なにこれ…。
泣かないって決めたのに…ごめ…っ。』

1度溢れると止まることを知らない涙は次々と溢れてくる。
すると突然目の前が真っ暗になり、なにか温かいものに包まれている感触がした。
顔を少し上へ向けると、そこには大好きないつもの凛月の顔があった。

『はぁ…我慢するくらいなら俺に言いなよねぇ…。
てゆうか…口、なんで血が出てるわけ？』

『…強く噛みすぎた…みたい。』

『じゃあ…止血しないとね…♪』

(人1)は理解するのが少し遅れ、それに気付いた時にはもう遅かった。
ベッドに押し倒されるような形になりすぐに唇を塞がれた。
手は凛月の手で捕まれ反抗出来ない。

『んんっ…ちょ、りつ…っ』

そしてキスだけでは足りないのか凛月の舌が傷口の血を舐めるように当たってくるのでキスの経験の少ない(人1)は酸欠寸前だ。

『り…つ。いき…っ…』

弱々しい力で凛月の手をきゅっと握るとわかってくれたのか唇が離れる。
つぅっと銀の糸が2人の間に繋がった。
凛月は満足そうに笑顔を浮かべ

『ごちそうさま…♪』

と言って窓から自分の部屋に帰っていった。
言い忘れていたが(人1)と凛月の家は隣同士で部屋も隣同士なので窓から出入り出来る距離なのだ。
(人1)は顔を真っ赤にしながら凛月の部屋に向かって叫ぶ。

『このっ…ふざけないでよバカ！
ちょっとでも優しいと思ったのに…凛月〜！』