209.Call me!! ページ19
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梨香子先生は「和也くん」
菜月ちゃんは「和くん」
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呼ぶなら、変な抵抗じゃないけど違う呼び方にしたい。
でも呼び捨てなんかできない。雅紀くんのことだってくん付けだもん。
なら、これしかない。
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「……、ナリくん」
和也「はい？」
「ナリくん！」
和也「…フツー、そこは和也くんか和くんとかじゃねえの」
「で、すよね…」
和也「……いいよ、ナリくんで」
「え！」
和也「誰も呼んだことねーから、いいんじゃない」
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少しだけ優しく、口角をあげたにのみ……、ナリくんは「早く帰ろ」って私を促した。
お互いの呼び名が変わった日。「委員長」から「A」に。「二宮くん」から「ナリくん」に。
それだけの些細な変化でも、舞えるように嬉しい。
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私たちが駅に着けば、タイミングよく電車がホームにやってきていてそれに乗り込む。
帰宅ラッシュと被ったからか、電車は相変わらず満員電車でがたんごとんと揺られながらぎゅうぎゅうと詰められる。
そんな私を見かねたナリくんが、私を扉側に立たせて自然な壁ドンをしながら守ってくれる。
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……そうだ、最初に関わりを持った時もこんなことをしてくれたっけ。
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ナリくんの石鹸の匂いが私を包み込んで、上目遣いにナリくんを見れば
ナリくんは電車内に貼られてる広告とかに目をやっていて、私には気づかなった。
それでいい、それがいい。
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しばらく、ジィッ…と見ればナリくんが不意に目線を私に戻してきて
パッ！と下を向いて視線を落とす。すると上からクククと喉を鳴らした笑い声が聞こえた。
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それから私にだけ聞こえるようなか細い声で
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和也「……だから、そんなに見られると穴が開くって言ったろーがよ」
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なんて言って、意地悪く笑うもんだからこの人は気づいてた。
気づいてて、わざとしてた。
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付き合って初めてわかった。
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和也「じゃ、また新学期」
「あ、うん…」
和也「連絡する」
「わ、わかった」
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和也「またね、A」
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ナリくんは、意地悪で確信犯だ。
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210.嵐の前の静けさ…side J→←208.変わっていく関係性
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