203.一喜一憂…side S ページ13
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大翔。
ぴく…と足が止まるのがわかる。
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大翔「何言ってんだよ」
彩音「えー…、だって大翔は優しいでしょ(笑)」
大翔「じゃあ俺にしとく？(笑)」
彩音「えー？どうしよっかなぁ？(笑)」
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あはは、って笑い声が聞こえたと認識した時には時すでに遅し。
気づけばシャッ……とカーテンを乱暴に開けて。ベッドに寝てる彩音が俺を見て目を大きくして
ベッドの脇に椅子に座って、目を三日月の形にしてた「大翔」ってやつが俺を見て驚く。
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俺は、自分自身でも驚く速さで彩音と大翔の間に立ち塞がって、寝てる彩音に背を向けて
座ってる男を思い切り見下ろした。
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翔「戻れ」
大翔「は？センセー？なんでいんの？」
翔「戻れ」
彩音「せんせ……」
翔「さっさと教室戻れ」
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翔「コイツは俺しか見てねぇからさっさと失せろ」
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爽やかキャラの仮面なんて被ってる暇はない。
顔を見ればわかった。大翔、は見山大翔だ。隣のクラスの男子。
なんで彩音と接点があったのかは知らねーけど、大翔が俺のキャラに驚いて言葉を失くす。
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それから静かに立ち上がって、失礼しました…ってカーテンを引いて保健室を後にしていく音がした。
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ピシャン…とその音を合図に、俺はずっと背を向けていた彩音の方を振り向いて
開いた口が塞がらない、という状況の彩音を見下ろしてまずは一言。
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翔「お前、浮気か」
彩音「ちっ…、違！大翔は小学から一緒で！別にやましいことなんてなんにも」
翔「だからなんだよ」
彩音「いやだから」
翔「すっげームカつくんだけど？」
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このイライラの正体。俺には分かる。
そんなイライラをまとわりつかせてる俺を見て、彩音はオロオロとした顔になる。
いいよ。俺の言動で一喜一憂すりゃいい。
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そんで俺のことで頭がいっぱいになっちまえ。
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翔「なんで俺には言わねえの、保健室にいるって」
彩音「……へ…」
翔「なんで智が最初に知ってんの。お前が具合悪いって」
彩音「先生…？」
翔「なんですぐに俺を頼んねえの」
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この感情。イライラ。
ただの嫉妬だ。
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