202.イラつきの理由…side S ページ12
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教室に入って、すぐにわかったことがある。
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二宮と春日の様子がどうもおかしい。絶対に何かあったぞ、あいつら。
空気が甘かった。俺の歳にもなると、空気が甘いのがすぐわかる。
なんかあったんだな、と。あとで潤に事情聴取しなきゃなんねえと踏んだ。
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今日は午前は通常授業、午後は終業式。午前は見事に授業が入ってなかったから楽だとか思ったのに
……楽じゃなくなった。
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翔「……ぁー…もう…」
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暖房の効いた職員室。SHRが終わって、職員室に戻ってきて自分の席に座ったはいいものの落ち着かない。
さっきの智のニンマリ顔がどうにも離れなくて、仕方ない。
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*「櫻井先生、クリスマスってどうお過ごしになられました？」
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無駄に香水臭いフェロモンだだ漏れ保健体育教師がすり寄ってくる。
あれか？保健の実践授業してみましょうね、ってか？
生憎、そこまで俺は女に困っちゃいない。
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そうだ。この女を巻くために、職員室を出るだけだ。
別にアイツがなんで保健室にいるのか知りたくて、保健室に行くわけじゃない。
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翔「あー、すみません(笑) ちょっと生徒見に行かなきゃなんないんで」
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そういえばガッカリした顔。他当たればいいよ、保健体育教師。
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ピシャン、と扉を閉めて保健室に早まる足。外は少し曇っていて、むかつく。
…そうだ、ムカつくんだ。イライラする。すっげぇイラつく。
なんでイラつく？
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翔「……チッ」
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理由は分かってる。ガキじゃない。
俺はそこまでガキじゃない。理由は分かってる。
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保健室の近くまで来て、たまたま智が保健室を出て行って違う方向に向かうのが見えた。
きっとタバコ。まるでチャンスが巡ってきたみたいに今だ、と足を進めて
ガラガラ…と保健室の扉を開けた。消毒液のにおいがして、目を顰める。
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ベッドのひとつが、カーテンが引かれていてそこにアイツが寝てんのが分かる。
そのカーテンにさえもイラつく。
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翔「おい、あーー…」
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“あやね”そう言おうとした時だった。
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彩音「大翔みたいに優しい人が好きだなぁ」
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声が聞こえた。
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