143.TOKIMEKI ページ9
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和也「俺がつけてあげよーか」
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ううう、と嬉しさを噛み締めて涙を流さないように必死に唇も噛み締めて
ただひたすらに俯いていたら、二宮くんはそんな私を励まそうとしたのかなんなのか
よくわからなかったけれど、また悪戯っぽい声を出して笑う。
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「……へっ！？」
和也「そんなに嬉しいなら俺がつけてやるよ」
「いっ…やいやいや！いいです、結構です」
和也「貸してみ」
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人の話聞いちゃいないぜ！と心の中で突っ込みながら
無理やり奪われた黄色いリボンのバレッタをぼけっと見つめながら
他人事のように、二宮くんの手が動いていくのを見ていた。
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和也「…これってどうやんの？」
「え？ここを、こうすると…」
和也「ああ、パチンって外れちゃうやつね」
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バレッタを二人で覗き込む。あまりの顔の近さに息を呑んだ。
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和也「どこがいいかなー」
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ちょっと嬉々とした声をあげて、一歩二宮くんが近づいて私の頭を触る。
髪の毛をサラリ…と指で梳かすと、柴犬のような口元を緩ませて
あごにあるホクロが、少し動いた。
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吐息がおでこにかかって熱い。
凝視なんて出来なくて、目をぎゅっと瞑る。ふわふわと髪の毛を触られているのが分かる。
パチン、とバレッタがつけられた音がした。
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和也「……やっぱり。俺の見込んだ通りだ」
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和也「似合うよ、委員長」
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そう言って、ふわっと笑ったのは紛れもなく目の前にいる二宮くんで
さっきとは違うあったかい涙に、思わず鼻をすする。きっと二宮くんは気づいてない。
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「ありが…とう」
和也「いーえ。元はと言えば俺が悪いんだし」
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私の髪の毛に飾られた、黄色いリボンのバレッタは
どことなく私の恋心を示している。
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和也「じゃー、俺帰るわ」
「あ…、うん」
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よし、と言って二宮くんが後ろを向いた瞬間
ガラガラと開いた
私の家の扉。
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どくん、と嫌な胸の鳴り方。
目の前で二宮くんがあからさまに嫌そうな顔をする。
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潤「……なにしてんの？」
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潤くんも、嫌そうな顔。
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