ハロー・セイ・ハロー Part6【K.N】 (ページ27)

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161.壊れる音がする…side Jun ページ27

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でも、幸せはそう長くは続かない。

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和也『どーいうこと？』

梨香子『だからね、和也くんの受験が終わるまでこういうのやめよう』

和也『なんで？安全地帯にいるし、合格点なんて普通に超えてんじゃん』

梨香子『そういう問題じゃないよ。私だって他の生徒がいるの』

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梨香子『教師なの、私は』

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冬。11月。

木口梨香子の誕生日は11月22日。二宮は彼女のために一応プレゼントだって用意していた。

だけど11月の頭。火曜日の放課後。彼女は彼のことを思って提案をした。

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だけど、いつも冷静だった二宮はそんなことは露知らず

珍しく声を荒げた。

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和也『…俺が重荷？』

梨香子『え？』

和也『アンタの重荷？』

梨香子『違っ』

和也『じゃあなんなんだよ！』

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彼には彼の、彼女には彼女の。

精一杯の、相手への思いやり。それがうまくすれ違って

その行く先もなくなった思いは、やがて色を失った。

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木口梨香子は彼の将来を思って

二宮は彼女の誕生日を祝うために彼女の好きな歌をギターで練習していた。

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“ギター弾ける男子、カッコよくない？”

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いつかの、ぽろっと出たごく普通の呟きを彼は大事に拾って、ずっと優しく包んでいた。

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梨香子『……やっ』

和也『……』

梨香子『……あ』

和也『……俺ともうキスするの嫌なわけ』

梨香子『違くて、これは』

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二宮の目の色は、多分深い青。

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梨香子『和也く……』

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彼女の声を遮ったのは、風でもなんでもなくて

立ち上がって、ギターを背負って。

木口梨香子に背を向けて、部屋を出て行った二宮だった。

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お互い嫌いになったわけじゃない。

ただ思いが重ならずに、すれ違っただけ。

こんなの他の恋人同士にはあることで

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このふたりがおかしいわけじゃない。

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ーーー…でも。

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成人してからの10歳差と、成人してない10歳差は違う。

それは本人たちに取っても、周りにとっても同じで

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菜月『和くん！』

和也『おはよ、菜月』

菜月『梨香子先生が…！』

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何も変わっちゃいない。

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