148. say goodbye…… ページ14
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ーーー…そんな私を
どうやら木口先生は困らせたいらしい。
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6時間目の数学。プリントを終わらせて、多分あっちは何も考えずに「委員長さん、みんなのプリント集めて持ってきて」と言ったんだろうけど
こっちとしては最悪の状況。もしかしてわかってやってる？と思ったけど昨日の今日だからさすがに知っちゃいない。
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みんなからプリントを預かって、SHRを終わらせてまだ出してない人たちからも預かる。
数を数えて、足りないのは
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「あ…」
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私の隣の席で突っ伏して寝ている彼だけだった。話しかけたくない。彩音はどこ、と思ったら
彩音はバイトだったからそそくさと帰ってしまった。どうしよう…と悩む。
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私と二宮くんしかいなくなった教室。外からは野球部の大合唱。
校内からは吹奏楽部の練習の音が聞こえてきた。
話しかけたくないと言っても、話しかけるしかない。私は恐る恐る彼の机の前に立った。
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「…二宮くん」
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声をかけても起きない。ツンツンと肩を突いても起きてくれなかった。
どうしよう…とその場にしゃがみ込むと、ちょうど見えた二宮くんの寝顔。
長い睫毛。白い肌。筋の通った鼻。
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改めて見ると綺麗な顔してるよなぁ…、と少し見惚れていると
目が、パチリ。と開いた。
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「あっ」
和也「……」
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まるで私が寝込みを襲おうとしてたみたい。キスをしようとしてたみたい。
慌てて顔を離して、立ち上がって「あの、プリントをですね！集めようと！」と弁明する。
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「なにふざけてんの？」とか言われるだろう、あのノリで。とか思いながらアワアワしてると
ガタン、と二宮くんが立ち上がって鞄を背負って。私を一瞥すると
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和也「……いらねー」
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ーーー…いつかのように。前みたいに。
冷たい目で、プリントを机から落として私なんか存在すらいないように
スタスタ……と振り向かずに教室を出て行った。
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ふわっと香った石鹸の匂い。
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「……、…あはは」
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床に落ちたプリントを拾って、ゆっくりとそれを撫でる。
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「……っ…ぅー…」
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もう、君の世界に私はいない。
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