102.夢は夢のままで ページ21
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“ーーー…俺と付き合う？”
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“俺とーーー…”
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「………。」
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“付き合って”
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カラン…ってどこからか氷が溶ける音がした。
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私は一瞬、その言葉の意味が理解出来なくて左隣に座って私を真っ直ぐ見据える二宮くんが
私の夢の中の人なんじゃないかって、錯覚した。
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でも、どうやら違う。
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「…いま…。なんて…？」
和也「付き合ってって言ったの」
「誰と誰が？」
和也「俺とアンタが」
「どこに付き合えば…」
和也「違ぇよ。男と女の付き合い。彼氏と彼女」
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“彼氏と彼女”
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どくん、と全身が心臓になったみたいに胸が鳴った。なんなら血液だってドクドク流れてる気がする。
手汗も酷い。口の中はカラカラ。目は見開きすぎて、乾いてる。
私と二宮くんが、彼氏と彼女？……そんな。
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そんな夢みたいな関係に、なれるの？
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和也「……返事は？」
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二宮くんが俯いた私の顔を覗き込むように、グイッと顔を斜めにする。
“返事は？”ーーーー…そんなの。
そんなの、一つに決まってるじゃん。
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ずっと好きだったんだよ？
天然キラーみたいな二宮くんに振り回されて、泣いて、傷ついて
もうやめよう、好きになるのはやめよう、好きなのは止めよう。って心の中で唱えても
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ずっと、消えてくれなかった気持ち。
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二宮くんが笑うたびに、嬉しくて
二宮くんが泣いた時、胸がすごい苦しくて
二宮くんに避けられた時、この世の終わりかと思うぐらい目の前が真っ暗で
二宮くんが話しかけてくれた時、驚くほど嫌なことなんてどっかに飛んでっちゃう。
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苦手だったのに、いつの間にかすごい好きになってた。
いつだって
私を天国に引き上げるのは、二宮くんで地獄に突き落とすのは二宮くん。
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……そう、だから。
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「……二宮くん」
和也「……ん？」
「あのね……」
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答えは、いつだってひとつなんだ。
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「……ごめんなさい」
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