99.あの夜の出来事 ページ18
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ーーー…あの祭りの帰り。
アンタに金魚を渡して、別れた後。
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俺は、いつも通り。真っ直ぐに家に帰ろうとしてたんだ。
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二宮くんが泣き止まない私をよそ目に、ぽんぽんと背中を撫でて私を宥めながら
言葉を選んでいるのか、ゆったりとした口調で語り出した。
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んで、家の帰り道。人通りが少ない路地に。男二人がたむろっててさ。一人の女を襲おうとしてるわけ。
あーくだらねーことしてんなー、なんて思って俺は平然と通り過ぎようとしたよ。
だって嫌じゃん。そんなマンガとかドラマみたいなことしねえよ。
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「ゃだ…ぁ…」って声には興奮したけどね。俺も一応オトコだし？
それでそのまま背中を向けてたら、聞こえたんだよ。
「かずなり…くん」って。
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「え…」
和也「……驚いて、振り向いたら」
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電柱に押さえつけられてる、梨香子がいた。
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『なに？お前、この女の知り合い？(笑)』
『いーじゃん仲間に入れてやろーぜ』
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人通りが少ない路地。なんなら街灯には夏だから、気持ち悪いような細かい虫がウジャウジャいて。
そんな街灯に照らされてんのは、涙を流して縋るような目を俺に向けてる梨香子、で。
なんでこんなとこにいんだよって言う疑問と、梨香子のスカートの中に手を入れてる男を見た瞬間、湧き上がった怒り。
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和也『……行こ』
梨香子『かずなりく……』
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俺だって野蛮なことは嫌い。喧嘩だってそこまで強くない。動くの嫌いだし。
梨香子の手を掴んで、そのまま逃げようとしたの。そしたら興味なくなるだろって。
でもーーーー…違った。
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『おい待てよ、おにーちゃん』
『ここまで来てオアズケはねえよなぁ』
『さっさと返しなよ、そのおねーさん』
『おにーちゃんだって、ホントはしたいんだろーよ』
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その言葉に被せて、ぐははっていう耳障りな笑い声。
ぎゅっ…とその瞬間、強く握られた俺の手。
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もう……、歯止めが利かなかったんだと思う。
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和也『……あ？』
『…あ？』
和也『お前らと同じにすんなよ。クズと同類は勘弁』
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そう、俺が笑う。
多分それが、合図だった。
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