95.ガチャン ページ14
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バタバタと私は職員室から会議室へと必死に駆けた。
クーラーもなにもない廊下を走ってるものだから、額に汗が滲んだ。
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スカートが足に引っ付いて、気持ち悪い。
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「……っさくらいせんせい！」
翔「ぅおっ。びっ…くりしたー…。なに！指どうしたの！深かったの！」
「木口梨香子先生が来るって本当ですか」
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ガラガラと、引いた扉を静かに閉める。会議室にもクーラーは効いていて
汗が滲んだ私にとっては、少し肌寒いぐらい。もう先生は既にたくさんの資料をホッチキスで留めていた。
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ガチャン、と音が響く。
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翔「来るよ」
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どくん……ってまた心臓が嫌な飛び跳ね方をした。
「学校」
それは、二宮くんと私だけのいわば空間だった。そんな空間に
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「なんで……中学の先生じゃないんですか」
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木口梨香子さんがやって来る。
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翔「高校の教員免許も持ってんだよ。……っていうか、なんで春日が木口先生のこと知ってんの」
「え？」
翔「なに。知り合いの先生だったりした？」
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ガチャン、とまたホッチキスの音がする。そのホッチキスがまるで私の胸を留めているみたい。
痛くて痛くて、しかたがない。
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「いや……べつに……」
翔「ふうん？」
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櫻井先生は挑むようなそんなトーンでそう言うと、「ならいいけど」なんて言ってくる。
私はザワザワとした胸の騒ぎを抑えながら、先生の隣に向かってピンク色のホッチキスを手にする。
それから、2人でガチャンと資料を留める。
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翔「………二宮のことだけど」
「…、あ、はい」
翔「アイツから、なんで停学になったか聞いた？」
「あ……いや」
翔「なんだ。アイツ言ってないんだ。分かった」
「……あのっ」
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ブオォ…って空調が強い音になる。
冷風が直接当たって、身体が冷えた。
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「停学になった理由。教えてもらえませんか」
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ドキドキ、という胸の鼓動。
ガチャン、と音がして櫻井先生は言った。
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翔「そんなに気になんなら本人に聞けば？……なぁ、二宮」
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