カンシシオン ページ4
ASide
A「これ、懐かしいなぁ…」
クローゼットにある真っ白な学ラン
そこには金字で『カンシシオン』と刻まれている
カンシシオンー
スペイン語で『歌』を意味するこの言葉は
うちの『相棒』がつけてくれた
学ランのポケットから出した写真
そこに写っているのがうちの相棒である、
A「大ちゃん…」
そう、大ちゃんこと西畑大吾
のんちゃんと同い年の大ちゃん、
つまり2歳年上なわけで
のんちゃんの同級生ってことで知り合ったんやけど
どういうわけかうちと仲良くしてくれとって
うちがやんちゃしとった時もいつも一緒やった
まだ中学生やったうちは
先生にも冷たくなって夜ごと夜遊びばかりしとった
ひとりで荒くれた男集団に喧嘩を売って
しかもそれなりに勝ってもうて
大集団を作ってもうた
青松中という地域でも有名な進学校におったうちは
その正体を隠さなあかんかった
そのために洋品店の息子やった大ちゃんが
作ってくれたのが真っ白な学ランやった
歌が大好きやったうちのために
一生懸命考えてくれたコードネーム
それが『カンシシオン』
そしてポケットに入ってるツーショットの写真は
ある人に助けられて自分の仲間たちと解散した
その日に撮ったもの
どっちも傷だらけやけど最高に笑っとる、
この写真がうちは大好きや
ーピンポーン
A「はーい」
うちが玄関に着く前に玄関の扉が開く音がして
文「おい！！誰かおるか？！！」
緊張感のある文ちゃんの声が響いた
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作者名：ゆいはん | 作成日時：2017年8月26日 16時
