あの虹のように20 (ページ9)

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言葉ページ9

望Side

渋「小瀧」

この前大阪にすばるくんが来た時に

すばるくんは帰ってきた俺を呼び止めた

望「はい、？」

渋「ここ、座れ」

食卓を挟んで向かい合う俺とすばるくん

しばらくの沈黙を経てすばるくんは話し出した

渋「Aの事や」

望「はい」

渋「…頼むぞ」

ちょうどその前の晩に

俺たちはすばるくんの旅立ちを聞いたんやった

望「はい」

渋「あいつはほんとに俺に勇気をくれたんや」

望「へ、？」

渋「俺が夢を追いかけようと思えたのは

あいつがいたからや

何人ものお嬢様や奥様を見てきたけど

その度に切ない気持ちにさせられてきた」

すばるくんの目に涙がたまる

こんな姿を見たんは初めてやった

渋「でもな、あいつは絶対に諦めへんかった

俺に迷惑をかけることを気にして

社長に責められても「渋谷は関係ない」って

ずっと言い切っといてくれた

それが、どれだけ勇気のいることで、

それが、どれだけ嬉しかったか、

お前にはわかるか、？」

俺はいち大学生で、

執事の仕事も苦労も何も知らんけど

すばるくんの頬を伝う涙が

全てを教えてくれてたような気がした

渋「その姿が、俺の大事なやつにそっくりなんや」

望「大事な、やつ、？」

渋「…安田や」

そう小さくすばるくんは言った