籠の中の鳥 ページ6
ASide
出会った頃のすばさんの印象、といえば、
ちっさい、不愛想な、おじさん、って感じ
でも初めはきつく感じた関西弁に
ちょっと親近感を覚えたりしてた
でもうちがなないろ孤児院の卒業生だって
聞いてからは
いつもうちのことを守ってくれてた
たまにすばさんはここじゃないどこかを見てた
A「…すばさん、？」
そう声をかけた時やった
渋「A、」
A「ん、？」
渋「お前は一生生田家のお嬢様として
籠の中の鳥みたいに
閉じ込められた世界で生きてくんやで」
その頃のうちは
ほんと毎日お兄ちゃんたちのとこに帰りたくて
逃げ出そうとしては
斗真お兄様に叩かれる日々を過ごしてた
でも今ならわかる
あの時『籠の中の鳥』やったんは
うちだけやなかった
無駄に広い部屋に鳥は二羽縛りつけられとった
・
だからすばさんは
うちの脱出作戦に手を貸してくれた
うちが面倒なことに巻き込まれへんように
うちの代わりに生田家の財務整理もしてくれた
のんちゃんとの結婚もすばさんが勧めてくれた
すばさんは籠の中から鍵を外して
うちを飛ばしてくれた
空高く、星に届くくらいまで、
だからどれだけ感謝しても
すばさんには足りないとうちは思ってる
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作者名：ゆいはん | 作成日時：2018年7月7日 20時
